« 冬山を歩く 5 | トップページ | 冬至の釣り »

2018年12月20日 (木)

『短編アンソロジー 味覚の冒険』を読む

題名は『味覚の冒険』だが、こんなものを食べた、あんなものを食べた、という食レポではない。
本書は、14人の作家による14本の短編小説集。

 

Photoこんな飯屋で読み始め。

本書14編の小説には、全て〝食う〟シーンがある。
その全てが不思議、奇妙、不気味。
ゲテモノだとかグロテスクだというものを口にするのではなく、〝食う〟に至る雰囲気、気分。

〝食う〟ということは、命を維持するための必須行為。
その当たり前のことを、不思議さ、奇妙さ、不気味さを感じさせる話にするのだから、舞台設定がそもそも普通ではない。
その描写に14人の作家が筆力をふるうのだが、そのどれもが、作家が力を込めて話を作ったという感じがしない。

作家にとって、〝食う〟話とはその程度のことなのだろう。

本夕、読了。

本書の題名は、初め 『悪食な奴ら』というのが候補だったそう。
本書中に出てくるのは、〝悪食〟よりは むしろ〝美食〟。

〝美食〟を書くのは〝悪食〟を書くより ずっと難しいと思う。
〝飢餓〟は文学になっても、〝満腹〟はさて。

« 冬山を歩く 5 | トップページ | 冬至の釣り »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 『短編アンソロジー 味覚の冒険』を読む:

« 冬山を歩く 5 | トップページ | 冬至の釣り »