『暗がりの弁当』を読む
著者は山本周五郎。
和服を着て白髪をオールバックにして撮られた写真が老成した文豪風。
いや、実際 彼は文豪だったのだが、写真からの印象とは裏腹に短命。
享年は63。
てな、知ったふうなことを書いているが、山本周五郎の文章を読むのは初めて。
こんな喫茶店で読み始め。
本書中にも、自分自身が実年齢より相当老けて見られることが書かれている。
本書は、主に著者が50歳代中頃から晩年までに書かれたエッセー35編を集めたもの。
若くして名を成したヒトだから、エッセーの寄稿先は著名新聞・雑誌が多い。
内容はこのヒトの生活そのもの。
22時就寝、3時起床。
起き抜けすぐに一杯引っかけて仕事に取りかかるヒトだったようで、本書中にもそんな生活の描写が幾つも出てくる。
時代小説作家という肩書から受けるイメージから遠く、和風食を好まず朝夕はパン、オートミル、チーズ。
コメはほとんど食べない。
コメを嫌っているのではなく、コメで満腹する食事では頭が働かないと感じていたようだ。
日本酒も好まず、ワイン、ウィスキー。
ワインについては随分と記述が多いが、ウィスキーについてはアッサリ。
オールドはウマすぎる。
白ラベルか角瓶がいいと言っている。
『暗がりの弁当』とは、著者が昼食の後に日課のように通っていた映画館での話。
1950年代後半のこと。
背広を着た中年紳士が、映画館の中でカバンから弁当を出して食べるのを何度も見る。
それも毎度 違うヒトだ、という話。
著者は、それを仕事にあぶれたヒトだと認識、哀れみのこもった描写をする。
本夕、読了。
私は しかし、それは現実を脚色し物語化、哀愁化、美化、あるいは悲劇化する作家という職業からくるものではないかと。
作家の考え過ぎ、思い込み、勘違いだと思う。
私の知っている あのヒトたちやこのヒトたちは商社員・顧客回りサービス員で、背広を着た中年紳士。
そして、私は知っている。
彼らが、しばしば喫茶店やパチンコ屋、あるいは駐車場の車の中で時間をつぶしているのを(^^;
コメント
こんにちわーす。
好きな作家が山本周五郎賞をもらっている人が何人かいるので、名前だけは知っていましたが、著書を読んだことがありません。
時代小説なんですねー。
機会があれば、なにか読んでみたいと思います。
(しかし最近の私は空を見るのに必死で、海も書籍も離れ気味。。)
投稿: めりー | 2018年11月28日 (水) 10:31
めりーさん、こんにちは
山本周五郎賞の選考対象は、時代小説に限ってはいないようですね。
私はすぐに気が散るので、長い物語は読めません(^^;
ンで、読むのはこんな本ばかり。
作るのはナポリタンだけ、そしてそれをハシで食べさせる店が室蘭にあったのですが、店をたたんでずいぶんたちます。
一度、ご案内したかったですねェ。
ところで、ファーストライト、おめでとうございます。
めりーさんも書いていましたが、月が欠けて影が伸びているほうが絵になりますね。
屋外に持って出たいですが、口径200mm一式ですから、取り回しが大変そうです。
私の持っているのは100mmですが、カウンターウエイトだけで5キロもあり、これもまた取り回しが大変(^^;
ということで、私は空を捨てて海と山へ(^o^)
沖で、お会いしましょう。
投稿: KON-chan | 2018年11月28日 (水) 19:05