『女の機嫌の直し方』を読む
オンナが書くオンナの本。
題名からして、内容の薄い時間つぶしの本だろう。
てな気分でページをめくったのだが・・・
こんな喫茶店で読み始め。
対象読者は女ではない。
対象としているのは、明らかに、私のようなマヌケな男。
著者は物理学を学んだあと、富士通で人工知能(AI)・対話エンジンの研究開発に携わったヒト。
使われている言葉・ロジックは大変に分かりやすい。
定量性のある表現、裏付けるデータはそれほど多くない。
多くはないのだが、書かれている内容を理解・納得するには十分な量。
〝オンナが書くオンナの本〟ではない。
人工知能エンジニアが書いたヒトの脳の話。
〝内容の薄い時間つぶしの本〟だなんて、とんでもない。
半分も読まないうちから、
オトコを見る目が、
オンナを見る目が、
変わる本だ。
ジャーナリストが、
教育者が、
臨床医が、
政治家が、
「脳には性差がない」と言えば、おさまりがいい。
現に、随分昔から、
〝ヒトは女に生まれるのではない。女になるのだ〟
と、環境が性差を作るのだという考え方が、世に受け入れられている。
しかし、著者は言う。
男女の脳には、〝装置としての機能性に差がある〟、と。
男と女の会話が噛み合わない理由がそれ。
噛み合せに必要なのは〝知識〟であることを、人工知能エンジニアの立場から著者は示す。
本夕、読了。
ヒトをオトコとオンナの二つに分けて話をするのだから、〝一般論〟。
〝一般論〟に対し、ああこう言うのは野暮というもの。
本書は、この〝一般論〟に乗って読み進めるべきだろう。
男性脳・女性脳の〝装置としての機能性の違い〟が理解でき、
オトコを理解できる
オンナを理解できる
(つもりの)自分に気付くはず。
結婚し、出産し、子育てをし、スーパーで買い物をし、夕飯を作り、夫自慢をし、息子自慢する。
わざわざ、自分自身のそんなことを書く。
それで、自身が〝一般論〟で言うところの〝普通〟の女であることを表現しようとしているのだろう。
その表現の仕方が巧みで、少しも鼻に付かない。
著者は、しかし、〝一般論〟で言うところの〝普通〟のオンナではない。
いや、オンナを〝一般論〟で論じてはいけない。
〝普通〟のオンナはいない。
著者は、とてもアタマのいいオンナだ。
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