『消されたマンガ』を読む
映倫審査に通らず、不許可部分をカットして上映される映画がある。
TV番組では、問題フレーズ・単語を〝ピー音〟に変えて放送されることがある。
政治・行政の場では、しばしば黒塗り文書が示される。
俳優・製作スタッフの誰かが刑事事件を起こしたことでお蔵入りとなる映画・TVドラマがある。
論理とデータで語られる学術論文にねつ造・改ざん・コピーが発覚、論文を取り下げることがある。
こんな喫茶店で読み始め。
マンガ雑誌に連載された作品の多くは単行本(コミックス)化されるが、〝多くは〟であって〝すべて〟ではない。
単行本にできるほどの連載回数に届く前に打ち切られたマンガは、単行本にしようがない。
また、長期連載されたマンガでも、単行本にする時にコマの書き換え、あるいは採録見合わせがある。
「ゴルゴ13」、「ブラック・ジャック」にも、単行本に採録されていない何編かがある。
その理由は、上に並べた〝映倫不許可〟・〝ピー音〟・〝黒塗り〟・〝刑事事件〟・〝ねつ造・改ざん・コピー〟。
本書は、〝消されたマンガ〟と〝表現の自由〟をからめるような面倒な話には踏み込まない。
新聞記事、国・地方議会での議事といった裏付けのある歴史を冷静に並べている。
もっとも、自由とか民主主義とか平等とかは肯定的に評価するものだという今の世において、〝表現の自由〟を落ち着いて話したり書けたりできるヒトは滅多にいない(と思う)。
サラリと流した本著者の見識がクール。
本夕、読了。
大手新聞社は、1面をA4に縮小し、ひと月分を1冊にまとめた縮刷版を発行している。
毎日宅配される新聞には、後日、記事に誤報やねつ造のあることが判明したりする。
縮刷版は、とんでもない誤報やねつ造記事には注釈が入るが、記事そのものは訂正されることなく印刷される。
歴史資料として残ることの自覚ゆえか。
あるいは、ある誤報やねつ造記事に関連する記事が何ヶ月も何年もさかのぼることがあり、すでに発行された縮刷版へはその対応が不可能だからと腹を据えているからか。
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