『ジェット戦闘機 Me262』を読む
世界初の実用ジェット機の話。
こんな喫茶店で読み始め。
〝実用〟と書いたが、〝実用〟とは安全・安心・安定がそろって初めて言えること。
Me262は戦闘機。
戦闘機だから、ジェット機、レシプロ機問わず、安全・安心な乗り物というわけにはいかない。
何せ、飛ばねばならない空域は、敗戦間際のドイツ上空。
Me262の任務は、各機5トンの爆弾を抱え1500機で編隊を組んで飛来する米英軍爆撃機を落とすこと。(注1)
この1500機の編隊に随伴する護衛戦闘機数が、防空のために上がるドイツ軍機を数倍上回る800。(注2)
そこにきて、Me262のエンジンの安定性がきわめて低く、実戦配備当初のエンジン寿命は10時間。(注3)
ああだったらこうだったらという話が、20も30も50も100も出てくる。
しかし、それが当たり前なのじゃないだろうか。
ああだったりこうだったりとモノゴトが進行するなら、戦争に負けるわけがない。
Me262の生産機数は1400ちょっと。
最高速は、米英軍の最新鋭機より時速で200キロも速い870キロ。
ただし、加速性能は並みの戦闘機と同程度なので、離陸直後に後ろに付かれると落とされる。
米英軍機に撃墜されたのが、200機弱。
駐機中に壊されたものが、やはり200機弱。
対して、Me262が撃墜した米英軍機は500機。
本夕、読了。
Me262の運用開始は、'44年6月。
ドイツの降伏は'45年5月。
(注1)
爆撃機の主力は、映画『メンフィス・ベル』に登場するB17。
この映画にMe262は出てこない。
なぜなら、メンフィス・ベルがドイツ爆撃作戦についていたのは、'42年11月から'43年5月。
Me262の実戦投入は'44年6月からだから。
(注2)
護衛戦闘機の主力はP51。
映画『メンフィス・ベル』には、この戦闘機も出てこない。
P51が護衛につくのは '43年12月から。
(注3)
燃料満タン(2570リットル)での航続時間が90分の飛行機だから、10時間持てば十分と判断したのだろう。
最終的には、エンジン寿命は25時間にまで伸びている。
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