『釣りと気象』を読む
《風速の単位はメートル毎秒(m/秒)だが、本記事内では、それをメートルと略記する。》
著者は気象大を出て、気象庁で定年まで気象予報業務に従事した気象のプロフェッショナル。
幼少期より父親に釣りの手ほどきを受けたので、釣師としての経歴も長い。
本書のはじめで、
気象庁予報業務40年
釣りバカ60年
と、書いてあるほど。
こんな喫茶店で読み始め。
気象台は週間予報を発表するが、その範囲は、
・晴れ・曇り・雨・雪
・降水確率
・最高気温・最低気温
まで。
風(波)の週間予報はしない。
室蘭気象台によると、当地の年平均風速は4.7メートルくらい。
地上でこれくらいの風があると海上にはウサギが跳びはじめ、我々の乗るような小船だと釣りがしづらくなる。
つまり、地球岬沖は、年平均的に小船での釣りには不向きな海域だということ。
私はバカだから、年平均風速程度の日なら沖に出るが、まず釣りにならずに終わる(^^;
そんな〝釣りにならない釣り〟の回数を重ねると、バカなりに学習するから、この頃は、陸上風速で5メートルを超えるようなら3回に2回は出航をひかえる。
でも、3回に1回は沖に出てゆくのがバカゆえ(^^;
さて、本書。
水温変化と食いの関係、風向きとポイントの関係など、釣りと気象との関係が多く書かれているが、北海道の船釣師には あまり参考にならない。
著者の在所は徳島で、現住所は東京。
紀伊水道や瀬戸内海、伊豆や八丈島などで竿を出す著者の話題とするサカナは、磯で掛けるチヌ(クロダイ)・メジナ(グレ)・イシダイ、浜から掛けるキス・ハゼ、さらには川でのウナギ等々と大変に広い。
しかし、いずれも、北海道を釣り場とする者の対象魚ではない。
なので、釣りバカ60年の実績釣果の数量・寸法・魚拓が年月日を添えて記載されていたりするのだが、肩すかし感 大いにメラメラ(^^;
一方の気象のほうは十分に納得。
変化を説明する天気図の掲載が豊富で、理解は視覚的に進む。(注)
本夕、読了。
気象台の週間予報には〝風〟がない。
だから、民間気象会社の風情報に頼ることになる。
これが、さほど信頼できるものになっていない。
明日の風ならともかく、明後日の風ともなるとアテにならない。
今日が雨でも 明日が風でも、それは仕方のないこと。
予報が4日前に変わり、3日前に変わりしてゆき、結局、気象台発表の『明日の天気予報』を知るのと変わらないことになるのが、何とも ハァ。
まァ、でも、天気予報は釣りの予測よりは まだいい。
釣果の予測は、当日の朝でも不可能(^^;
(注)
本書内では、季節を代表する10パターンの天候のほかにも、さまざまな天候推移が実際の天気図で示される。
その推移を説明するのに使う天気図は、ある日の9時・翌日の9時・翌々日の9時の3枚、足掛け48時間分。
48時間で天気は変わるとも言えるし、天気の変化には48時間かかるとも言える。
ところが、本書中に こんな言葉があったりする。
『最近の数値予報精度は非常に高くなっており、低気圧が急に発達する場合などは、前日の午後には計算されており「低気圧情報」が(後略)』
〝急〟というのが〝急速に〟ということではなくて、〝突然に〟とか〝予期せずに〟という意味に解釈できるような書き方。
いや、そういうことなのだろう。
翌日の予報なら自信を持って言えるけれど、1週間先の予報、どころか明後日の予報は はたしてどうかなァってことを、〝気象庁予報業務40年〟の著者自身が告白しているようなもの(^^;
使える予報はいいとこ前の前の日のもの、大きな変化の予報は前日にならないと・・・
我々の気象予報技術の現時点の到達点がここ。
コメント
定年を機に気象予報士の資格でもと
少し探ってみましたが、一番の障害は
なんといっても記憶力の低下でした。
あえなく断念。
室蘭は風が中々落ちない地方だと感じます。
風が有れば出港出来ず、出港出来なければ
釣果が出ない。
至極当たり前の法則ですが、台風シーズン前は
凪が続きますね。出ましょう。糸垂らしましょう。
投稿: きーさん | 2017年4月 1日 (土) 08:37
きーさん、こんにちは
かなり本格的な気象の本を時間をかけて読みましたが、私も記憶できません(^^;
太平洋に突き出た岬地形ですから、室蘭は風の町です。
北海道開発局がリアルタイムで道内の全ての国道の5・12・36・37・・・・・393・451・452・453号の交通規制と道路気象を発表しています。
この発表では、白鳥大橋の風速表示がたいてい一番です(^^;
これからの季節、ガスも濃いですしね。
安全第一、釣果第二で楽しみたいものです。
投稿: KON-chan | 2017年4月 1日 (土) 17:01