『まるで本当のような嘘の話』を読む
講談師、見てきたようなウソを言い。
赤穂浪士の討ち入り時には、雪がシンシンと降っていた。
日本で初めて新婚旅行を行ったのは、坂本竜馬夫妻である。
いずれも、のちの人の作り話。
〝嘘のような本当の話〟ではない。
知っていた・信じていたことが、実は違う。
本当だと思っていたことが実は違うという話。
こんな喫茶店で、読み始め。
こういうテーマからは、教訓的な〝善〟なるものが見える気分にさせられるかもしれない。
が、〝本当のような嘘〟を知ったところで、覗き見気分以上のものは得られない(ように思う)。
釣師のバカ話のほうが、はるかに〝教訓〟的。
釣師はホントなんだかウソなんだか、よく分からない話をする。
しかし、実はこの釣師のバカ話、大体はホントの話。
イワシのサビキ仕掛けでサケをあげる。
赤いオモリでヒラメをあげる。
フック1本だけのジグでサバを2尾あげる。
これらは、ウソのようなホントの話。
だから心して竿を出さなければならない。
競馬の実況中継の、本当のような嘘の話。
ゲートの開く音。
駆け抜けていく馬の足音。
これは、だが、本当の音ではない。
合成・付け足し音、嘘の音。
今夕、読了。
コメント