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2016年10月12日 (水)

『ねじとねじ回し』を読む

日本工業規格(JIS)は、〝医療用絹製縫合糸〟だとか〝事務用のり〟なんてものまで規格化していて、それら2万項目。
規格協会では、それを1項目ずつA4サイズの冊子にして出版している。
この冊子を全て並べるには、本棚が100メートルと全冊購入費用に1500万円が必要。
この内、塗料とか工具とか使用頻度の高い規格は、まとめてA5版本に合冊、JISハンドブックとして出している。

 

Screwこんな喫茶店で、読み始め。

ポンペイで発掘された壁画には、ワインやオリーブオイルをしぼるための圧搾機が描かれているのだそう。
〝ねじ〟を回転させて締め付け力とする機構で、万力や浅漬け器と同じ構造。
ポンペイが、ヴェスヴィオ火山噴火の火砕流に埋もれたのは2000年近くも前のこと。

もっと古く、アルキメデス、紀元前2世紀まで〝ねじ〟の歴史をさかのぼることができる。

2000年前と言えば日本はまだ弥生時代、文字さえ持っていなかった。

日本人が〝ねじ〟を知るのは,それほど古くない。

鉄砲伝来は1543年。
伝来したのは、発射火薬・弾を先込め(前装)する鉄砲。
銃口の反対側(尾栓)は封じられていなければならない。

ポルトガル人の伝えたのは、〝ねじ〟の尾栓。
日本人が〝ねじ〟を知った始まりがこれ。
この技術を日本の鍛冶職人が獲得していく経緯は大変に面白いのだが、本書原著者は米国人。
ゆえに、東洋の島国でのこんな出来事には触れられていない。

「コンちゃん、アンタ、〝ねじ〟が何本か足りないンじゃ・・・」
私は、しばしばこう言われる(^^;

冒頭の話に戻る。

〝ねじ〟も、JISハンドブック化されている。
私に足りない〝ねじ〟も、このJISハンドブックに載っているハズだが・・・

〝ねじ〟のJISハンドブックは、Ⅰ、Ⅱの2分冊。
合計で2000ページ以上。(@_@;)

私に足りない〝ねじ〟を見つけられないのも、ムベなるかな(^^;

本夕、読了。

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コメント

こんにちは。大和民族はネジを作る技術が無いため、国産の鉄砲が出来るまで、ずいぶん時間がかかりました。我が国のもうひとつの産業革命だそうですね。それはそれで、土曜日は好天予報ですが?。

投稿: きーさん | 2016年10月13日 (木) 15:25

きーさん、こんにちは

羅針盤・火薬・紙。
そして紙への印刷術の発祥は中国です。
しかし、意外なことに、中国ではついに〝ねじ〟が発明されず、ほとんど日本と同じ頃、ヨーロッパから伝えられています。
そのことから、〝ねじ〟が生まれるには天才の発想が必要だったのだろうという旨が、『ねじとねじ回し』には書かれています。
〝ねじ〟のらせんをビューンと伸ばすと、それを斜辺とする直角三角形が得られます。
逆に、直角三角形を丸棒に巻き付けると〝ねじ〟のらせんが得られることから、らせんを周っている間の勾配と進む距離が一定であることが視覚的に分かります。
そこから〝ねじ〟切り盤の発明までは大きな発想の飛躍はなく、ヨーロッパではかなり古い時代から精度のいい〝ねじ〟が作られていたようです。
今は特殊な〝ねじ〟以外は、転造〝ねじ〟(〝ねじ〟の型を素材に押し付けて成形する)ですね。
切削〝ねじ〟(旋盤で素材を削って成形する)に比べて転造〝ねじ〟はコストが桁違いに小さくて品質のばらつきも小さいです。
かつ、圧延(塑性)加工ですから強度があります。

〝ねじ〟は、職人の作るものより大量生産品のほうが優れているというちょっと面白い品物ですね。

イタンキの丘からはイカ漁船の漁火が見えます。
灯りが水平線の上に出ていますから、水深100メートルちょっとあたり。
イタンキ沖から白老のほうに、20隻は並んでいます。

ということで、沖に出たい。
ですが、まだドックに入ったまま(^^;

投稿: KON-chan | 2016年10月13日 (木) 17:56

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