『国連広報官』を読む
国連憲章が起草され51ヶ国によって署名されたのは、'45年6月26日。
帝国の降伏前、ポツダム宣言が出るより前のこと。
国連における公用語は、英語・フランス語・ロシア語・中国語・スペイン語('73年にアラビア語が追加)。
日本語では『国際連合』と表記するが、公用語の中国語では『联合国(聨合国:連合国)』と書く。
冒頭では『国連憲章』と書いたが、公用語表記では『联合国宪章(連合国憲章)』(〝宪〟は〝憲〟の簡体字)となる。
『联合国(連合国)』とは、日独伊を主力とする枢軸国(the Rome-Berlin-Tokyo Axis)と戦った側の陣営を言う語。
米英仏露中をはじめとする憲章に署名した51ヶ国が『联合国』陣営。
以下、本記事では上記事情を脇に置き、『联合国』・『the United Nations(UN)』のことを『国連』あるいは『連合国』と表記する。
こんな飯屋で読み始め。
憲章は戦時下に作られている。
だから、枢軸国を制裁するに当たっては、他の連合国の同意を必要としないことなどが書かれている。
110条からなる憲章の、いわゆる敵国条項と呼ばれる文言が53条・77条・107条に現れる。(注)
国連機関のひとつの国際原子力機関(International Atomic Energy Agency:IAEA)の現在のトップは日本人。
『保障措置(セーフガード)』遂行はIAEAの重要業務。
核物資・施設の軍事転用、核拡散を防ぐ業務だ。
だから、すでに核兵器を保有している米英仏露中は査察されない。
IAEA査察官の実働日数と業務量の60%は、日独二国に費やされている。
そのはず。
『保障措置』が起案されたのは、連合国が日独の核軍備の能力と意図に懸念を持ったから。
著者は、ジャーナリストを志しNHK職員となる。
ラジオニッポン・国際局・外信部と異動し、国連広報センターに出向。
その後、国内取材セクションの在籍が一度もないままジュネーブ特派員となる。
46歳でNHKを退職、国連職員となり、国連本部報道官、IAEA報道官とキャリアを積む。
彼によると、〝国際派〟と呼ばれる人材は、日本では、とりわけNHKでは能力・海外経験に見合った活躍の場がないと言う。
国際経験の豊かな人を日本の組織は使いこなせないのだ、ということを言いたいらしい。
著者は自分のことを仕事師といい、徹夜で仕事をこなしたという。
そんな〝国際派〟には応分の待遇があってしかるべきだということなのだろう。
自分の経験が特別で特殊で、だからその特別さ特殊さは評価されるべきだとも読み取れる。
この人は、何か勘違いをしている(と私は思う)。
自分で言わなくとも、仕事師と呼ばれる〝国際派〟の人はいる。
一昨日に席についたばかりの新入社員だって、必要ならば徹夜で仕事をする。
我々の日々の仕事だって、特別で特殊だ。
結局、著者は、自分で言うところの〝国際派〟の枠内でモノを言っているだけのような(^^;
本夕、読了。
(注)
かわぐちかいじのコミック『沈黙の艦隊』を思い出した。
日米共同で極秘裏に建造された核兵器搭載の原子力潜水艦シーバットに乗るのは海上自衛官で、米国第七艦隊に所属する。
試験航海でシーバットが第七艦隊から離脱、ヤマトと艦名を変え独立を宣言、防衛行動で米艦を沈めていく。
日本政府がヤマトの意思を支持。
それに対し、米国が日本に計画するのは、
・原油および穀物等の輸出入の完全封鎖
・企業間の株式の持ち合い禁止
・全国銀行の解体
・教育制度の改革
・国防力の削減
・現政府の解体
そして、日本再占領。
この米国の制裁措置は、国連憲章の敵国条項によって理論的には成立しうる(と思う)。
コメント
こんにちわ。
ずいぶん難しい本を読まれておりますね。
最後に〝かわぐちかいじ〟の沈黙の艦隊が
出てきて安心しました(^-^)。
その後の〝みらい〟もよかったです。
今は〝いぶき〟でしょうか。
投稿: きーさん | 2016年7月 3日 (日) 17:11
きーさん、こんにちは
自分の頭で理解できる範囲しか読み取れていません(^^;
もっとも、素人相手の新書ですから、難しい本ではありません。
ところで、〝みらい〟も読みました。
〝いぶき〟も読んでいます。
どころか、『沈黙の艦隊』も『ジパング』も全巻持っています(^^;
マンガ・コミックで育った世代です(^^;
投稿: KON-chan | 2016年7月 3日 (日) 20:18