『ソフトウェアの法則』を読む
2次方程式の2次・1次の係数と定数の三つの値を入力して解を出力させる、初学者演習用の10行ほどのプログラム。
それが私の初めて組んだFORTRANプログラムで、HITAC10Ⅱで走らせた。(注)
プログラマとしての適性が私にあるはずがない。
これでおしまい(^^;
著者は、ソフトウエア開発者として30年以上東芝に勤めた人。
米国のIBM・マイクロソフトへ長期派遣されての実務経験も豊富。
東芝を定年退職後は大学で教え、専門書も出している。
その経歴と『ソフトウエアの法則』というタイトルから連想されるような、「プログラム設計要領」とか「プログラミング技法」といった技術的な内容が本書に書かれているわけではない。
書かれているのは、職業として企業プログラマを選択した人の生活、職場の風景。
初版が前世紀の'95年。
FORTRANプログラマはどこへ行ったやら。
プログラマと言えばCOBOLプログラマとCプログラマのことをいうようになり、その開発現場もタイなどに移っていた。
パソコンのOSではWindows3.1が成功し、Windows95が販売された年。
本書内で使われている用語や描かれている世界は懐かしさを感じさせるほどに古い。
こんな飯屋で読み始め。
全体は大きく、
・コンピュータ一般
・ソフトウエア技術
・設計技術
の三つに分かれ、それぞれがさらに6及び7つの小節で組み立てられている。
各小節ごとの構成はよく練られていて、何気ない話が〝ソフトウエア開発〟に移り、最後のオチへと流れる起承転結の展開が見事。
このオチは、ソフトウエア開発の現場を知る者ゆえの発想。
職業プログラマなら、深く感じ入るオチだろうと思う。
ではあるが、どれも一般性があり、決して楽屋落ち・仲間受けに終わっていない。
プログラマの世界を知らない私だが、このオチのデキの良さは分かる(つもり)(^o^)
例えば、こんなオチ。
『少し先のことを正確に見込むことを「予想」という。 これは難しい。
ずっと先のことを大胆に見込むことを「予言」という。 これは容易である』
つまり、海に出てアンカーを入れる。
同乗者に、
「ここで40センチオーバーのマガレイが掛かる」と言うのは難しいが、
「この海には50センチオーバーのマガレイがいる。 掛けた人もいる」と言うことは容易なのと同じ(^^;;;
本夕、読了。
(注)
HITAC10Ⅱ(ハイタック テン ツー)は日立のベストセラーミニコン。
16bit/word。
メモリは磁気コア64KB。
幅1インチに8穴を開閉孔した紙テープで入力する。
コメント