『肖像画の中の科学者』を読む
フックの法則(ばねばかりの原理)のフックは、英国の大学者。
同じ英国のニュートンはフックより7歳年下の同時代人。
なお、ニュートンはフックの死後24年生きている。
フックが万有引力の存在に気付いていたのは確かなようで、それもニュートンより早い。
ただし、その力の大きさが距離の自乗に反比例することを定式化(逆自乗の法則)したのはニュートン。
だが、フックは万有引力の法則をニュートンより先に発見したと強く主張し続けていたらしい。
フックの肖像画は失われている。
それはニュートンの意図によるもので、フックが万有引力の第一発見者は自分であると主張していたことにニュートンがひどく嫌悪していたからだという説がある。
天才性ではニュートンがフックをはるかに上回ることは誰もが認めるところだが、天才とてヒトの子、そしてヒトは感情の動物。
万有引力の法則の確立者の称号に一点の非もなきようとするため、頭脳活動といえない幼稚な行動を天才ニュートンがしたのかもしれないと思うと、ヒトの心の浅さを感じ、同時に深さを感じる。
こんな喫茶店で読み始め。
キャヴェンディッシュは やはり英国のヒトで、ニュートンの死後3年して生まれている。
名門貴族の長男で大富豪のキャヴェンディッシュだが、彼の肖像画は彩色されていない。
キャヴェンディッシュの肖像画は、本人の知らぬ間に密かにスケッチされたもの。
人見知りが強い上にヒトとしゃべることが苦手な彼は、肖像画を描かせるために長時間 絵師の前に立つということができなかったようだ。
そういったこと以前に、肖像画を描かせるということ自体に彼がこれっぽっちの興味も示していない。
着るもの金銭など世俗的事項には何の興味も示さず、のみならず、科学者としての名誉を獲得することにも全く興味を示していない。
ニュートンやフックがそうだったように、第一発見者の栄誉を得るために科学者らは競う。
キャヴェンディッシュはそれからは、遠い人物。
わずかな論文を発表し、それだけでその天才は世に認められていたが、私邸内の実験室にこもって得られた成果のほとんどは生前に世に出ることはなかった。
オームの法則(電圧は電流と抵抗の積に比例する)は、オームがそれを発表する半世紀も前にキャヴェンディッシュによって発見されていた。
キャヴェンディッシュのように、でかいサカナを掛けてもジッと黙り込むってのはカッコいい。
私の場合は、ジッと黙り込むしかない。
そりゃァそうだ。
でかいサカナが掛からない(^^;
コメント
こんばんわ
人間観察ですね、見ることは、そして診ることは、是即ち・・・、の問いですね。
ちょっとだけ飛躍して、では誰に見られるのでしょうか?
そもそも人の原理的な欲ってやつは、一体誰が診て、誰が評価するのでしょう?
と考えると、キャヴェンディッシュに宿る、静謐なる心に貴殿同様、乾杯!!
投稿: 3 | 2016年6月14日 (火) 23:57
与作さん、こんにちは
フィールズ賞辞退のペレルマンは、現代のキャヴェンディッシュといっていいかもしれません。
他人からの評価をいっさい求めない、自分の世界で生活している天才というのはいるンでしょうねェ。
天才を発揮する前、乳児・幼児のうちに死んでしまった天才もいるのではとも思います。
私はガヤガヤして生きているなァ。
ドンク才ですからねェ(^^;
投稿: KON-chan | 2016年6月15日 (水) 06:48