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2016年4月26日 (火)

『太陽に何が起きているか』を読む

太陽研究の第一人者、宇宙科学研究所(ISAS:アイサス)の常田所長の手になるもの。

 

Sunこんな喫茶店で読み始め。

地球は、南北の磁極が数十万年を単位に入れ換わる〝地磁気逆転〟が起きる。

〝太陽磁気逆転〟は、それよりもはるかに短ピッチの11年。
黒点の増減も11年で繰返す。(注)
かと思うと、中心核から出た光子が太陽表面まで出てくるのに10万年。

著者は、東芝が天文学科出身者に初めて入社内定を出した人。
この時の東芝の対応がオトナ。
東芝は彼に入社内定を出し、ASTRO-A(太陽観測衛星「ひのとり」)ミッションでの修行後に入社をするよう勧める。

著者はASTRO-A後の太陽観測衛星にも継続して携わることになり、結局 東芝には就職せずに現在に至る。
しかし、企業内研究者としても成功した人だろうと思う。

米国の人口は日本の2倍とちょっと。
その米国の太陽研究者は日本の10倍。
太陽研究に付く予算は日本の数十倍という。
それほどの米国だが、日本主導の太陽観測衛星計画に乗ってくる。

東芝の対応もそうだが、この世的な損得から離れた世界とは、何と大人な世界なことよ。

インターネット環境を近くに置いて読み進めるべき本。
太陽観測衛星「ひのとり」・「ようこう」・「ひので」からの動画データのISASサイト内のURLが紹介されていて、それへのアクセスが本書の理解には必要。

ところで、仏語・伊語だと男性名詞の〝太陽〟が、独語だと女性名詞。
露語だと、中性。
民族の気質が、覗けるような気がする。

本夕、読了。

(注)

太陽活動の活発期には黒点が増え、不活発期には黒点が減る。
活発時には太陽の明るさが増し、発する熱量も増える。
それは、地球の人間の観測にかかるほどの変化で、地球の気温も11年をピッチに上下する。
黒点が多いと発する光・熱量とも減りそうなものだが、同じく増える白斑による光・熱量の増加が黒点によるマイナス効果にまさるとのこと。

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