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2016年2月18日 (木)

『日本人の英語力』を読む

沖縄の主権が米国から日本に戻ったのは、'72年。
6年後の'78年、沖縄の交通ルールが変わり、自動車の右側通行が左側通行となった。
この時、
『車の右側通行が世界の大勢だ。 沖縄の交通規則を変えるのではなく、本土の交通規則を変えるべきだ。』
と言ったヒトがいた。

香港、インド、フィリピンなどの公用語は現地語にプラス英語。
英語国の支配を受けたからで、返還・独立後の今もそう。
香港、インドは英国に租借・植民されたから、車の通行も英国式の左側通行。
フィリピンは米国に植民されたから、車の通行は米国式の右側通行。

沖縄上陸後の米軍は、車の右側通行をただちに実施。
なのに、日本本土に進駐した占領軍(GHQ)は、なぜかそれを施行しなかった。(注1)

というつながりで、公用語について。
日本の占領は連合国軍によって行われたが、事実上、米国及び英国連邦軍によるもので他の連合諸国軍の進駐はなかった。
であるのに、日本語に加えて、なにゆえ英語も公用語としなかったのかが不思議。(注2)

以下、植民とか占領とかを受ける側の民族意識とか国家観といった、重い話は脇に置く。
言葉に限った話。

 

Marsha_krakowerこんな喫茶店で読み始め。
著者は、マーシャ・クラッカワー。(注3)

表題は『日本人の英語力』だが、日本人の英語能力を評論しているわけではない。
ビジネスや公のパーティや会議の場で使うにふさわしい、品位ある英語を話すには、という内容。

品位ある英語を話す必要があるのは日本人に限るわけではないから、キャロライン・ケネディやヒラリー・クリントンの言葉づかいも話題に上がる。

単語の省略からスペルの省略まで進んでゆく Internetese(インターネッティーズ:インターネット語)という言葉があるそうだ。

著者は言う。
そんな英語や立ち話英語を使うネイティブスピーカーのマネをしてはいけない。
How to say it(どのように話すか)よりも What to say(何を話すか)が大切、中学・高校で学ぶ正しい英文法をベースにしてと。

ところで、私の英語力は中学1年1学期終了程度(^^;

中学・高校で学ぶ正しい英文法というものが、そもそも身についてない(^^;

ただ読んだだけ(^^;


(注1)

GHQは日本本土においても右側通行とすることを意図していた。
が、実行しなかった。
バスの乗降口を変える費用・技術がなかったのが理由だと伝えられているが、根拠としては薄い。

今の日本にある車は8千万台。
バスだけで20万台をこえる。
敗戦直後、日本国内にあった車両は10万台にも届かず、内、バスは1万3千台ほど。
東京駅前の交差点でさえ、交通整理は警官の手信号。
ワンマンバスはなく、必ず車掌が乗っていた時代だった。
やれたはずだと思う。

(注2)

無条件降伏した国を占領するわけだ。
だから当然のこと、GHQは公用語に英語を加える占領プログラムを持って日本に進駐している。
実際、'45年9月2日、日本が降伏文書に調印した その直後、
英語を日本の公用語とする〟旨の布告文書を日本政府に渡している。
その施行は翌3日10時から。
これは結局 布告されなかったのだが、そこに至る2日から3日にかけての経緯は大変に面白い。

ただし、〝
英語を日本の公用語とする〟ではなく、〝日本語に加えて英語も公用語とする〟という布告なら、香港・インド・フィリピンなどと変わらないから、実行されていた公算大。
日本が占領下にあった期間は7年。
当初より7年で終わるという工程表が引かれていたわけではなく、日本の変わり方次第で3年かも10年かも50年になるかもしれなかった。
いずれにしても、現在の我々が日本語と英語のバイリンガルになっていた可能性はかなり高かった。
そうであったら、私は本書を手にしなかったはずだ。

(注3)
米国人を父に、日本人を母に持ち、東京で生まれ育った人。
アメリカンスクール、聖心と日本で学んだのち、米国の大学院で英語教授法を修めている。
完璧な英語と完璧な日本語を書き話せる日・米語バイリンガル。
現在、母校の教授。

聖心では、厳しい先生として通っているようだ。
学生には、マーシャ先生などとファーストネームでは呼ばせず、
  Professor Krakower
  Ms. Krakower
  クラッカワー先生
のいずれかで呼ばせていると本書内に記されている。

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コメント

こんにちは。

数年前にエゲレスに行った時、小生のイングリッシュは通用しませんでした(T_T)。
ジャパニーズイングリッシュでしたわ(笑)

中学に入っていきなり、「ブラウンさんはどうだこうだ」と言われてもねー。
小学校で英会話から入って、中学で文法ってのが
覚え易いと思いますが如何でしょうか?。
まっ、小生根っからの日本人ですわ。

投稿: きーさん | 2016年2月20日 (土) 09:58

きーさん、こんにちは

会話は耳ですね。
耳のいい人にはかないません。
きーさんは音楽をやる人ですから、外国語会話の修得はきっと速いと思います。
私はダメですね。

小学校で英語の授業が始まるような報道があります。
是非、ネイティブが担当してほしいものです。
でないと、耳と発音はそれこそジャパニーズイングリッシュになってしまいます。

本書では、文法について決して難しいことをいってません。
単数・複数
is・are
冠詞
など、ごくごく基本的なことにチェックを怠らずにということが書かれています。
この程度のところで間違っていたら品位ある英語は話せませんってことなのでしょう。

私、この程度のところでつまづいています(^^;
そもそも聞き取りができません(^^;

投稿: KON-chan | 2016年2月20日 (土) 18:21

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