『図書』を読む
1936年2月から毎月発行され、戦時・戦後に用紙統制で途切れた時期もあるが先月10月号で800号。
私の読んだのはその翌号の801号。
税込100円の販価となってはいるが、大きな書店や生協書籍店だと無料で配付してくれる。
こんな喫茶店で読み始め。
岩波書店の広告誌。
『図書』の下は、同じコンセプトの新潮社の『波』。
自社出版物のみならず、誌内広告ページには他社の刊行物も載せられているところも共通する。
同様の広告誌は他の多くの出版社からも出ているが、隔月刊となったり休刊・廃刊となったものもあり、出版業界の苦境がうかがえる。
『図書』も同様。
広告誌の中で『図書』が一番長い歴史を持ち、多い時には60万部以上も発行されていたそうだが、現在は盛期の1/4ほどまでに発行部数が減っているという。
さて、『図書』。
作家・文芸評論家は当然として、物理学者・医師・モデル・音楽家など投稿者は様々。
その様々な投稿者は、いずれも斯界における第一人者。
本号の投稿者は16名。
60ページほどの小冊子だから各投稿文は短いが、どれも文章は硬質で高度に知的。
タダで配付されていてさえ読者数が減っている理由がその硬さにもあると思うのだが、岩波書店自ら『図書』を、
・知的好奇心あふれる読者に
・読書家の雑誌
・日常生活にピリッと刺激を与える
としていて、ハナから私のような者を相手にしていない(^^;
書かれているのは、書評にとどまらない。
執筆陣の多彩さ、その執筆視線のユニークさ・鋭さ、投稿テーマの扱い方の知的レベルの高さゆえだろう、現代史資料として使う研究者もいるときく。
釣り本や新聞小説を読むようなスピードで行を追うことはできない。
私が読み進められたのは、そのページ数の少なさゆえのみ(^^;
コメント