『ホルモン焼きの丸かじり』を読む
トウキビはもう終わりに近い。
小豆は収穫の始まり。
【画像:上】
赤い実を背に、カボチャの黄色にレンズを向けるヒトがいる。
【画像:下】
文春文庫。
東海林さだおのエッセー、「あれも食いたいこれも食いたい」の文庫版。
その内の一冊。
週刊朝日に、かれこれ30年近くも連載されている。
それを製本化したシリーズの出版は、40冊にせまろうとしている。
家人が購入してきたものも含めると、単行本・文庫本を合わせ、我が家の書棚にはその半分以上がおさまっている。
ミシュランガイド三つ星・満漢全席から、生卵かけごはん・おはぎに至るまで、あらゆる食い物が語られる。
東海林さだおは秀才の知性と、天才の視点を持っているヒト。
どうでもいいことが、天才の視点で解析され秀才の抑制されたユーモアで語られる。
本書、〝小松菜に学ぶ〟の章。
小松菜には個性がなく代表料理もない、と書く。
大根やほうれん草やカリフラワーは、その業務に励んでいるが、小松菜はいつも浮かぬ顔をしている、と続ける。
対して、カボチャ。
カボチャは何の疑問も持たず正々堂々カボチャ業を営んでいる、と。
上で、〝赤い実を背に、カボチャの黄色にレンズを向けるヒトがいる〟と書いた。
確かに、カボチャは正々堂々、カボチャはカボチャ。
赤い実を背に、レンズを向けたくなる対象だ・・・
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