『わしらは怪しい雑魚(ざこ)釣り隊』を読む
山歩き後の釣師が読むなら、こんな本だろう。
椎名誠著、新潮文庫。
副題は、『マグロなんかが釣れちゃった篇』
〝わしら〟の〝わし〟とは椎名誠のこと。
〝釣り隊〟の〝隊長〟も椎名誠。
こんな喫茶店で、読み始め。
昼飯を食いながら。
後書きまで読み進んで分ったのだが、これはシリーズ本で、本書はその三集目。
月2回発行の釣り雑誌「つり丸」に、月1回連載していたものを文庫化したもの。(注1)
本書内には21編、21ヶ月分がおさめられている。
椎名誠の文章は初見。
よって、以下はこの本だけを読んでの感想。
居酒屋オーナー・スポーツライター・システムエンジニアなど10人ほどがつるんでは、時には久米島や知床にも行くが、だいたいは関東一円の釣り場へと繰り出す。
船に乗ることもあるが、防波堤での釣りが多い。
基本的な遠征スタイルは、キャンプ。
「つり丸」編集者が同行。
釣果があがれば、それを酒のサカナ、夕食のオカズにして食う。
椎名誠自身は、釣りが好きで好きでという人物ではない。
テントの中で、『こんな時間がオレには必要』と感じる程度。
みんなで集まって、誰かの竿が曲がり、テントを張っておこした火の周りで飲む・食う・ダべる・聞く場に身を置くことで満足しているようだ。
著述家として、通院・服薬を必要とするほど心身へのストレスを受ける量の仕事を抱えつつの、釣行と釣行記だ。
ユーモアで装飾してはいるが、釣行も文章も随分ムリをしているなァ、と。
時間に押されているのだろう、釣行も文章もやっつけ・作り物。
そう感じさせるのは、編集する側に企画段階での真剣さが足りないからなのだと思う。
まァ、釣り雑誌に載せる釣行記に〝真剣さ〟の裏打ちが必要なのかと思うし、釣りそのものに、どれほどの〝真剣さ〟が必要なのかとも思う。
が、オフザケでは魚は掛からない(^^;
私でさえ、竿をかかえて家を出る時にはそれなりの〝真剣さ〟がある(つもり)(^^;
という上記の二行で、この記事をしめようと思ったのだが、彼はマグロもカツオもアオゾイもカワハギもアナゴも掛ける。
〝釣っちゃう人〟には、〝真剣さ〟は必要ないようだ(^^;
雑誌掲載時の校正モレのままで、文庫化まで進めてしまった部分が幾つかある。(注2)
ということとは関係なく、このシリーズをこの先 読み進めるかといえば、さァ・・・
(注1)
雑誌「つり丸」は、我が町の本屋の書架にもささっている。
しかし、私は手したことがなかった。
(注2)
例えば、久米島沖のパヤオ(浮き漁礁)までの距離。
『なにしろ漁場まで島から23マイル(約37キロ)ある。』という文章。
海で〝マイル〟といえば、はノーチカルマイル・海里(かいり)・浬(マイル)のこと。
1マイル1852メートル。
だから、23マイルは約43キロ。
椎名誠が書いているのは、オカのマイルで陸里(りくり)・哩(マイル)。
1マイル、1760ヤード、1609メートル。
これだと、23マイルは37キロになる。
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