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2013年6月13日 (木)

久留里線に乗る

「札幌雪まつり」に大雪像がなければ、あれほどの観光イベントにはならないだろう。
大雪像を作るのは陸上自衛隊。
この自衛隊の大雪像建像活動は、「雪中訓練」だか「冬期築城演習」だか、そんな名目で行われている。
よって、札幌市が大雪像作り要員の人件費を予算計上することはない。

帝国陸軍には鉄道連隊という組織があった。
軍用資材・要員を輸送するための鉄道の建設・運営を主任務とする部隊で、その本隊は千葉県内に置かれていた。
技術練磨を目的として、教練・演習(注1の一環として実用軌条敷設を随分行ったようだ。

大雪像は雪まつりの後には壊すけれど、鉄道連隊が教練・演習で敷設した路線の中には、現在も現役で使われている線がある。

久留里(くるり)線もそのひとつ。
敷設は、帝国陸軍鉄道連隊。(注2)
全線単線。
千葉県内のJR線中、ただ1線残っている非電化線、つまり気動車(ディーゼルカー)しか走らない線である。

久留里線に乗る。

Kururi_line【画像:上】
木更津(きさらづ)駅にて。

キハE130が入線してきた。
これが、6時26分木更津駅始発の下り便となる。

交代運転士が待つ。

久留里線には、昨年末に納車された新車のキハE130しか走らない。
キハE130の導入を得、この春、久留里線車両から車掌が降りてワンマン運転化された。

【画像:下】
久留里駅にて。

久留里線は、東京湾アクアラインの千葉県側出入口近くの木更津駅から小櫃川(おびつがわ)に沿って房総半島を南東に走り、上総亀山(かずさかめやま)駅に至る32キロ。
特急も急行も走らない、短いローカル盲腸線だ。

鉄道連隊が敷設したのは、木更津駅から久留里駅までの約20キロ。
開業が1912年(大正元年)。
百年が過ぎた。

この線をさらに東に延長すると、太平洋沿岸を走る外房線に交わる。
そこまでの延線計画があり、接続は大原駅。
ということまで煮詰まっていたのだが、頓挫したまま。(注3)

『南総里見八犬伝』の里見氏ゆかりの久留里藩城下はこの駅の南東に当たるが、城下町の雰囲気は残っていない。

雨。
沿線は水田の若緑。

(注1)
軍事教練・演習として設計・工事を行ったようだ。
資材(軌条・枕木・路盤材など)のみが受益者負担。
よって建設資材調達費は府県の負担。
労務は帝国陸軍。

『戦場にかける橋』は泰緬(たいめん)鉄道の建設現場が舞台。
映画では描かれていないのだが、泰緬鉄道を建設したのは帝国陸軍鉄道連隊。
架橋工事を進捗させられない帝国陸軍に代わって、英国軍捕虜将兵がクワイ(クウェー)川に鉄道橋を建設することにからんで話が進む。
この映画のストーリィーは史実とは言えない。
しかし、史実からそれほどかけ離れているわけでもないようだ。

(注2)
鉄道連隊が敷設した当初の久留里線は、軌間762ミリ(2ft6in)の千葉県営軽便鉄道対応線。
のち、国有鉄道となり、鉄道省が1ft広げ、現在ある在来線軌間幅としている。

(注3)
房総半島を横切る道路網・鉄路網は充実している。
例えば、木更津駅より5駅上った五井(ごい)駅からは、房総半島を横切って大原駅まで鉄路がつながっている。

久留里線延線は、多分、永遠にない。

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