『愚か者の杖』を読む
杖とは、釣り人(イコール〝愚か者〟)の持つ竿のこと。
本日、『愚か者の杖』読了。
副題に「五大陸釣魚紀行」とあるが、ユーラシア大陸と南アメリカ大陸での紀行記はない。
北アメリカ・オーストラリア・アフリカの三大陸と、南シナ海・ミクロネシア・中米への、合計6回の海外釣行が書かれ撮影されている。(そのほかエピソード的に、韓国での鮎釣りや網走湖でのワカサギ釣りの話などが添えられている。)
開高健の『オーパ!』と、装丁・編集が全く同じデッドコピー、文章+写真。(これはいただけない、どうした徳間書店)
夢枕氏が書かれたものを今日初めて読んだのだが、顔貌・体躯が開高健によく似る。
ただし、釣行スタイルは夢枕氏のほうがずっと品がいい。(注)
高橋カメラマンと二人で世界を廻った開高健と違い、夢枕氏の釣行の全行程には編集者2名、ダイワの社員とカメラマン各1名ずつが同行。
一釣行ごとの日程はごく短い。
また、夢枕氏、開高氏のように、ウィスキーをラッパ飲みするような酒との付き合い方はしないようだ。
ビールという言葉が5回ほど、ワインという言葉が2回か3回出るのみ。
先行お手本書の『オーパ!』へのリスペクト、開高氏への遠慮(謝罪かも)の意があちらこちらで読み取れる。
書中、〝開高健〟が5回、〝開高〟が1回出てくる。
また、仕事に追われ、釣り場に到着して釣り装束の格好で原稿書きをしている図が何枚も出てくるが、これもある種の言い訳だろう。
見せてはいけない図、言ってはいけないこと(のように思う)。
スピニングリールのハンドルが、右だったり左だったり。
多分、左が常態で、右に見えるのは本の編集の都合で写真を裏焼き(鏡像反転)したものだろう。
この本に出てくるプロの釣りガイド(現地の人だけではなく日本から移り住んだ人もいる)が、どなたもかなり失礼。
ゲストたる夢枕氏より先に、あるいは多く、目的魚を釣り上げてしまう。
地球岬沖あたりをフィールドにする船長に、ゲストより先に、あるいはゲストより多く釣り上げる者はいない・・・
はず、・・・(^^;
(注)
〝品がいい〟というフレーズが、いつでも肯定的に使われるフレーズだとは限らない(^^;
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