読書

2024年4月20日 (土)

『奇妙な四字熟語』を読む

大相撲。
横綱に推挙された力士のもとへ、日本相撲協会の理事と審判部長の二人がその昇進を伝達しに訪れる。
親方と おかみさんに はさまれた紋付きはかまの その力士は、
 「謹んでお受けします」
続けて、
 「横綱の名に恥じないよう、稽古に精進し相撲道に邁進します。
  本日は まことにありがとうございます」
てな、口上を述べる。
この時、第65代横綱の貴乃花光司は、
 「横綱の名を汚さぬよう、不撓不屈(ふとうふくつ)の精神で
  相撲道に不惜身命(ふしゃくしんみょう)を貫きます」
と、口上を述べた。
彼は大関昇進時にも、不撓不屈 を使っていたが、横綱昇進時に付け加えた この 不惜身命 は知るヒトの少ない四字熟語だったので、当時 話題になった。

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こんな喫茶店で読み始め。

書名は『奇妙な四字熟語』だが、二字熟語、五字熟語、どころか十二字熟語まで。

〝丿〟は〝へつ〟と読む。
〝乀〟は〝ふつ〟と読む。
二字熟語の〝丿乀〟で、〝へつふつ〟。
意味は、〝舟などが揺れ動くさま〟

十二字熟語の〝子子子子子子子子子子子子〟。
〝猫の子の子猫 獅子の子の子獅子(ねこのここねこししのここじし)〟と読む。
〝猫の子は子猫であり獅子の子は子獅子だということ〟
出典は『宇治拾遺物語』。

本夕、読了。

本著者の著作を以前にも読んだことがある。
『世界奇食大全』がそれで、拙ブログに、
 大雪山中で、『世界奇食大全』を読む
として、記事にしている。
この人の知識の守備範囲は大変に広い。

本書内に いくつか描かれている五月女 ケイ子のイラストがいい。

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2024年4月14日 (日)

『For the Future:Our Global Partnership』を読む

読んだのは、日本時間の12日早朝、米国上下両院合同会議で岸田首相が行った演説文。
演説は英語で行われたが、日本政府が翻訳を付けて その全文をマスコミに流している。
ンで、翻訳をチラチラながめながら(^^;

英文・和文あわせて、新聞見開き2ページにちょうどおさまる量。
これを岸田さんは、10回以上のスタンディング・オベーションを含め、50回ほどの拍手を受けながら、30分強の時間をかけて演説している。

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我が家の居間で読み始め。

演題の
 For the Future:Our Global Partnership
に、日本政府が付けた和訳は、
 未来に向けて~我々のグローバル・パートナーシップ~

演説の構成は、
 Introduction:はじめに
 The leadership of the United States:米国のリーダーシップ
 New Challenges:新たな挑戦
 Global Partners:グローバル・パートナー
 Conclusion:結語
の5章。

首相スピーチだから、たたき台文章を何人もの優秀な役人が寄ってたかって、練って・練って・練って、推敲を重ね・重ね・重ねしたのだろう。
よってもって演説原稿の、
 構文は義務教育範囲内
 単語も平易
 内容も ごく常識的

本夕、読了。

 ‥‥, as the United States’ closest friend, tomodachi,
 the people of Japan are with you, side by side, to
 assure the survival of liberty.
 米国の最も親しい友人、トモダチとして、日本国民は、
 自由の存続を確かなものにするために米国と共にあります。
という文章がある。

このスピーチで、 tomodachi が friend のことだと米国議員にストレートに伝わるのだろう。
米国軍は、東日本大震災の翌日から1ヶ月半にわたって、Operation Tomodachi(トモダチ作戦)を展開している。

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2024年4月13日 (土)

『人生を肯定するもの、それが音楽』を読む

多摩美大出身のミュージシャンに、
 彫刻を専攻した  小室 等
 日本画を専攻した 松任谷 由実
がいる。
天から二物を与えられたヒト。

フォークダンス曲のオブラディ・オブラダ。
フォークダンス曲だが、〝オブラディ・オブラダ〟を〝フォーク〟だと言うヒトはいないだろう。
オブラディ・オブラダよりも もっともっとスタンダードフォークダンス曲のマイム・マイム。
この〝マイム・マイム〟を〝フォーク〟だと言うヒトはいないだろう。

音楽に定義づけが必要だとは思わないが、〝歌〟がなくては〝フォーク〟にならない。
あえて言えば、〝フォーク〟とは、本書著者が歌うような曲。
本書著者は、天から二物を与えられたヒトの一人である小室 等。

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こんな飯屋で読み始め。

本書名は、著者が作曲家の武満 徹(たけみつ とおる)に言われた(注)
 ・人生そのものを否定していては、
  歌は出てこない
 ・人生を積極的に肯定する情熱が
  ない限り、歌は生まれない
に由来している。

音楽とは、かくも大上段に振りかぶって語らねばならないものらしい・・・

本夕、読了。

音楽性に大きな違いがある著者と武満 徹との出会いは、武満が小室のコンサートを聴き、それを批判的に新聞のコラムに書いたことがスタート。
ではあるが、じき、小室は武満の、武満は小室の音楽を理解し合い、2人は友情で結ばれる。
小室が武満のコンサートに連れ出した井上陽水は、武満音楽をを理解しなかったことが書かれている。

(注)
武満 徹は、黛 敏郎(まゆずみ としろう)と同世代人。
二人とも、日本を代表する現代音楽の作曲家と言われる。
が、この二人の曲の1曲だけでも頭から最後まで聴き通したことがあるヒトは滅多にいない。

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2024年4月 7日 (日)

『ド・ローラ節子の和と寄り添う暮らし』を読む

20世紀の終わりを見ることなく逝ったピカソ(1881ー1973)だが、そのピカソに〝20世紀最後の巨匠〟と言わしめたのが、フランス人画家のバルテュス(1908ー2001)。
 
スイス レマン湖の東の小さな村の標高900メートルにあるグラン・シャレ(山荘)が、バルテュスの終の棲家。
山荘とはいうがスイス最大の木造建築物で、彼が住まいとする前は、部屋数50・窓数150のホテルだった。

このグラン・シャレでバルテュス と暮らし、今現在も ここに住むのはバルテュスの34年下の妻のセツコ・クロソフスカ・ド・ローラ(Setsuko Klossowska de Rola )。
彼女もまた画家。
セツコ・クロソフスカ・ド・ローラを、彼女は〝節子くろそふすかどろうら〟と署名する。
スイスでの日々を和装で過ごす日本人。

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こんなファストフード店で読み始め。

和装で花を摘み、食卓を飾る。
ジャノメの日傘で、来客を迎える。
そして、こんな色・模様の着物を着る。
 ・トルコ石色の綸子(りんず:絹織物の一種)地に黒線で
  さらりと書かれた流水
 ・岩紫紅(いわしこう:赤紫色の岩絵の具)地に浅黄群青
  (あさぎぐんじょう:青色)色の樅(もみ)の木と うす
  色の家の模様

本夕、読了。

節子が和装で過ごすのは、バルテュスの好みゆえ。
バルテュス自身も、和装を日常着としていた。


夜明け前にラクダの背に揺られて宿を出て、白足袋で降り立ったのは、朝焼けのサハラの砂の上。
深紅の紗(しゃ・うすぎぬ:絹織物の一種)に白い帯。
着物と同色の和の日傘をさして。

そして、節子は こう書く。
昇りゆく日の光は赤い衣に吸い込まれ、私の身体を火照らせて。
夢世か現世か・・・
と。

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2024年3月31日 (日)

『銀座のプロは世界一』を読む

東京には、すべてが集まっている。
 ヒトも食もファッションも
 芸能も技術も知も
 富も貧も夢も絶望も

その東京の銀座には、
 ユニクロもあれば、シャネルも
 ラーメン店もあれば、ミシュラン三ッ星のフレンチレストランも

副題が、『各店を支える匠を訪ねて』。
銀座の匠は超一流。

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こんな喫茶店で読み始め。

朝鮮で使うハシは日本とほぼ同じ。
 ただし、金属
大陸で使うハシは日本とほぼ同じ。
 ただし、長い

銀座タカハシビルは雑居ビル。
B1F 花大根(はなだいこん:先月移転)
 1F 銀座夏野(なつの)
 2F 銀座すし嘉(よし)
 3F 銀座器ギャラリー門(もん)
 4F~6F 学習塾・ナイトクラブ

この銀座夏野はハシ(箸)の専門店。
ハシを展示し それを売るのは当然だが、客の要望に応じてオリジナル ハシを作ってくれる。
どころか、ハシの修理もしてくれる。

本夕、読了。

私は、ハシづかいがヘタ。
なので、塗りバシは苦手。
私が家で常用しているのは、コンビニ弁当に付いてくる あの無垢木の丸バシ(^^;

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2024年3月30日 (土)

『東京の美学』を読む

銀座丁目交差点は、〝銀座丁目交差点〟。
しかし、銀座丁目交差点は、〝数寄屋橋交差点〟と呼ぶ。
いずれも、片側4車線道路と片側3車線道路が交差する。

その数寄屋橋交差点を見下ろす位置に建つのが、地上8階・地下5階建てのソニービル。
そのビルの全階を使ってソニーの全製品が展示されていて、かつ そこでは それに自由に触れることができる。
ヘッドホンを試し聴きするだけでも、半日は過ごせるビル。

このソニービルを設計したのが、芦原義信(あしはら よしのぶ)で、本書の著者。

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こんな飯屋で読み始め。

本書、
 第一章 日本人の空間意識
  (一)日本人はなぜ靴を脱ぐのか
で、始まる。
高温多湿の気候風土のせいで、日本の住居の床は地面より一段高い。
そして靴を脱ぐ。
障子やふすまで構成される壁は 常に変化する。
〝床の建築〟である。
と、著者は書く。
対して、欧州は〝壁の建築〟である。

と、ヒネリのないストレートな論調が読みやすい。

本夕、読了。

今のApple社と同じく値引き販売なんかしなかったソニーが、いつの頃からか 量販店でオープン価格販売。
1964年竣工のソニービルは、2017年に解体された。

本著者は、ソニービルの解体を知らない。
2003年没。
享年85。

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2024年3月24日 (日)

『鉄道ひとつばなし』を読む

著者は政治学者。

初めに、
 学者が本業を放り出して、「趣味」の本を出すとは何事
 かという批判は覚悟している。
と書き、続けて、
 私にとって、鉄道は単なる趣味ではない。 それは経済
 史や経営史の研究対象となるばかりでなく、私の専門で
 ある政治思想史にとっても、テキストを読むだけでは見
 えない重要な手掛かりを与えてくれる。
と書く。

そして序章が、
 思索の源泉としての鉄道

鉄チャン・鉄子の好むトリビアが並べられているのではなく、広く深い知識と、整然とした頭の使い方で本書は書かれている。

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こんな喫茶店で読み始め。

大正天皇は その皇太子時代(1900(明治33)年~1912(大正元)年)に、沖縄を除く全ての道府県庁所在地を回っている。
1907(明治40)年、皇太子は 開通20日後の山陰本線に乗っている。
その時の、鳥取県の倉吉駅のある自治協会に残る記録が以下。

 奉迎人 倉吉駅到着は遅くも御着車時刻一時間前
 (九時五十分)とす もし同時刻を後れば構内
 に入ることを得ず

つまり、
 皇太子を乗せた列車は十時五十分に倉吉駅に着くから、
 歓迎に選ばれたものは、その一時間前の九時五十分まで
 に駅構内の指定場所に整列せよ。
 それに遅れた者は駅構内に立ち入ることを禁ずる。

数字をきれいに、九時五十分としても良さそうなものだが、一時間前は、あくまでもキッカリ一時間前。
時刻の五十分は、あくまでも五十分。

鉄道と皇族の硬い関係が見える。

本夕、読了。

ところで、本書初版は2003年9月だが、今も版を重ねている。
なお、執筆時、某大学助教授だった著者は、すでに名誉教授。

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2024年3月23日 (土)

『理系のための法律入門』を読む

 〝理系の〟
とあるが、
 知的財産法
 不正競争防止法
 製造物責任法
などが書かれている。

副題は、
 『技術者・研究者が知っておきたい権利と責任』

著者はそれについて述べるのにふさわしい経歴の持ち主。
風水力機器製造会社でエンジニアとして従事後、司法試験に合格、弁護士に転向したヒト。

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こんな喫茶店で読み始め。

昨日のニュースから ふたつ。
ひとつは、
 紅麴(べにこうじ:こうきく)を含むサプリメントを摂取した人に
 深刻な腎疾患が発症。
 製薬会社はその製品の回収を始めたというもの。
 ただし、紅麴成分と腎疾患の因果関係は不明。

もう ひとつは、
 生後9ヶ月の乳児が、ベッドからの転落を防止する柵とマットレス
 の間に挟まれて窒息死亡。
 両親がメーカーに求めた9300万円の損害賠償に対し、東京地裁
 が3500万円の賠償を命じたというもの。
 裁判所は、製品の設計に欠陥はないことを認めつつも、使用に当た
 っての警告表示が不十分だったというのが賠償額の算定根拠。

製薬に関しては、
 がん治療薬オプジーボを巡って、小野薬品が提訴された事案がある。

工業製品に関しては、
 青色発光ダイオードを巡って、日亜化学が提訴された事案がある。

いずれもノーベル賞受賞者が原告で、提訴の理由は特許使用料。
100億円を単位とする訴訟。

本夕、読了。

日本の地名が、中国で商標登録されている。
ひるがえって、日本でも、ジャガイモ・トウモロコシ・トウガラシ・シナチクなんてのが一般名詞化。
フランス・パリ・ジャワ・ワシントンが付く商品も。
ノーベル・コロンブスもそのたぐい。

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2024年3月17日 (日)

『すごいしくみ大百科』を読む

下糸を上糸がからめ上げて縫い進めるミシンのしくみを理解した日のことを覚えている。
覚えているくらいだから、それほど前のことではない。
いい大人になってから(^^;

自動車の差動歯車(デファレンシャルギア:デフ)のしくみを理解した日のことを覚えている。
覚えているくらいだから、それほど前のことではない。
いい大人になってから(^^;

ミシンも差動歯車も その発明は今から200年ほど前。
アタマのいいヒトってのはいるもンだ。

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こんな飯屋で読み始め。

チンをするときに使うラップ。
食器にピチッと張り付いて蒸気を漏らさず、かつ 蒸気圧で破れない強度が必要。
これ、某社製のラップが一番。
奥さんに、
 「ラップを買ってきて」
と、お使いを頼まれたときに、ポリエチレン製のラップなんかを買ってきてはいけない。
塩化ビニリデン  H Cl
         | |
         C=C
         | |
         H Cl
の二重結合を開いて重合させたポリ塩化ビニリデン(PVDC)製のものに限る。

本夕、読了。

ラップが食器に張り付くのは、何か粘着物質でもフイルム表面に塗布してあるのかと思っていたが、分子間力の一種(ファンデルワールス力)によるものなのだと本書に。

重力は距離の2乗に反比例
熱輻射は温度の4乗に比例
対して、
ファンデルワールス力は距離の7乗に反比例
と、ものすごく効く。

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2024年3月10日 (日)

『恐怖の正体』を読む

高所恐怖症
閉所恐怖症
対人恐怖症
先端恐怖症
なんかは、私にも何となく分かる。

モノに触れるたびにセッケンで手を洗わなくては落ち着かない潔癖症は、不潔恐怖症とでもいうのかも。

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こんな飯屋で読み始め。

著者は、甲殻類恐怖症の精神科医。
料理の中に、少しでもエビ・カニが入っていたら、それを取り除いても 既に〝汚染〟されていると感じるという。
著者が恐怖とする対象は広く、外骨格系生物は全部ダメで それは昆虫もなのだと。

〝娯楽としての恐怖〟もある。
怖いモノ知りたさで、ジェットコースターなどの絶叫マシンの乗り場の列に並ぶヒトが少なからずいる。
怖いモノ見たさで、刑場に集まるヤジ馬心理もそうだろう。

幽霊の正体見たり枯れ尾花
って、恐怖をコケにする ことわざもあるが、本書では それには触れていない。

本夕、読了。

本書には、ヒトがヒトを食うカニバリズム(cannibalism)にも言及している。
生産計画上は、
 1基でまかなえる設備を2基
 2基でまかなえる設備を3基
と配置するのを冗長(じょうちょう)設計という。
生産現場では、その余力をバックアップとか予備機とかと称するのだが、本機(常用機)がコケた場合、しばしば以下の状態におちいる。
すなわち、予備機が〝部品取り機〟となり、いつの間にか、
生産計画上は、
 1基でまかなえる設備を2基配置したのに、稼働できるのは1基のみ
 2基でまかなえる設備を3基配置したのに、稼働できるのは2基のみ
となってしまう。
これを、cannibalism maintenance(共食い整備)という。

著者は、これも恐怖としている。

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