日記・コラム・つぶやき

2024年10月 5日 (土)

『台所に敗戦はなかった』を読む

本著者の著作は以前にも読んでいて、拙ブログに、『食べ方上手だった日本人』を読む と記事にしている。
本著者の実家は九州で百年以上続く割烹料理店。
舌は確か。

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こんな喫茶店で読み始め。

書名の『台所に敗戦はなかった』は、
 戦争に負けようが、進駐軍が来ようが、ご飯は作らにゃ
 ならん。
 腹を減らせば赤子は泣く。 あれがない、これがないと
 言ってる場合じゃない。 あるもの、手に入るものをい
 かにおいしく食べられるようにするか。
 敗戦した その日も、「この子に何か食べさせなきゃ」と
 おかあさんたちが台所に立っていたことをいう。

話は、敗戦の前後10年くらいのこと。
著者は、その頃出版の婦人雑誌の料理記事を読み解き、実際に再現調理してみる。
 お汁粉
 葡萄酒
 コーヒー
などなど。

本夕、読了。

古い婦人雑誌の料理のページを数多く読み込んでいる著者は、日本人にとって、サンドウィッチと握り寿司は同じカテゴリーの料理ではないかと書く。

 カツオブシサンド
 すき焼きサンド
 塩ザケサンド
 漬物サンド
 ・・・・・・・・

著者が言うには、
 奈良漬けを酒粕ごと はさむと、ウソ偽りなしにうまい!
とのこと。
ピクルスとクリームチーズのサンドウィッチになるらしい。

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2024年9月29日 (日)

『日本の色 十二か月』を読む

今年の箱根駅伝は、往路・復路とも青山学院大学、したがって総合優勝も青学大。
この駅伝をラジオで実況中継するNHKのアナウンサーは、青学大の襷(たすき)の色をフレッシュグリーンと表現する。

大相撲、北海道出身の現役幕内力士は一山本のみ。
彼のまわし(締込:しめこみ)の色は、JIS Z 8102で269種定めている慣用色名に照らしあわせればスカイブルー。
が、TV・ラジオともNHKのアナウンサーはンな表現は絶対にしない。
空色。

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こんな喫茶店で読み始め。

青学大の襷の色は、若竹色(わかたけいろ)か若緑(わかみどり)。
5月の色。

一山本の空色は8月の色。
本書によれば、平安時代には成立していた色名(しきめい)で、『源氏物語』に、
 空の色したる唐(から)の紙
という記述があると。

本夕、読了。

再び本書によれば、日本語には空の色を表現する単語が少ないらしい。
上述したJIS Z 8102の慣用色名269種中、青を表すのに英語を使う色名が、
 ブルー
 スカイブルー
 ホリゾンブルー
 ミッドナイトブルー
など、17もある。

ところで、NHK大河ドラマ『光る君へ』で演じられる平安時代の宮中人の重ね着の色の組み合わせは 時代考証が確か。
『枕草子』の一節に、
 すさまじきもの
 昼ほゆる犬、春の網代
 三、四月の紅梅の衣
とあり、紅梅色(こうばいいろ)は2月。

桜の季節に、紅梅色の衣を着た女御・女房は確かに映らない。

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2024年9月22日 (日)

『仕事』を読む

厚生労働省は、Ministry of Health, Labour and Welfare

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こんな喫茶店で読み始め。

新約聖書には、
 εἴ τις οὐ θέλει ἐργάζεσθαι μηδὲ ἐσθιέτω
 The one who is unwilling to work shall not eat.
 働こうとしない者は、食べることもしてはならない

ベネディクト会の信条は、〝祈り働け〟〝ora et labora

表紙のミレーの『落穂拾い』に、著者の〝仕事観〟が映っている。
旧約聖書には、
 畑から穀物を刈り取るときは、その畑の隅まで刈り尽くしては
 ならない。 収穫後の落ち穂を拾い集めてはならない。 貧し
 い者や寄留者のために残しておきなさい。


本夕、読了。

日本国憲法が定める国民の三大義務は、
 第27条 教育の義務
 第28条 勤労の義務
 第30条 納税の義務
日本国憲法の草案は、連合国軍総司令部(GHQ)による。
GHQが書いた第28条の草案は、
 All people shall have the right and the obligation to work.
で、交付された第28条は、
 すべて国民は、勤労の権利を有し、義務を負ふ。

GHQとは、すなわち米国。
その米国の合衆国憲法の条文に、勤労の義務 はない。

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2024年9月16日 (月)

タップを立てる

5時15分の日出とともに出航。

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今日の出竿は、こんな風景の見える海域。

空は高く澄み、濃い青。
日射は強く、沖ではTシャツ・ハーフパンツ・サンダル・ツバの広い帽子。
良ナギだが魚信は遠い。
掛かってもガヤかカジカ。

10時、沖上がり。

ところで、・・・
タモ網を交換するため、タモ枠を外したい。
が、枠と柄をつなぐネジが さび付き、焼こうが叩こうが外れそうもない。

で、ネジのアタマをドリルで削り取り。

 オネジを作るのは、〝ネジ切り〟作業。
 メネジを作るのは、〝タップ立て〟作業。

残ったボルト軸に施工したのは、タップ立て。

以上は、North Wave船長の手による。

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ネジのアタマを削り取り、部にメネジを作り、

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網を交換、枠と柄を接続。
ということで、和了(^^) 

North Wave船長には、お手を煩わせました。
どうもありがとうございました。

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2024年9月 7日 (土)

『ヒット曲のすごい秘密』を読む

著者は中島さち子。

4半世紀ほど前のこと。
当時 高校生だった中島さち子が ζ(ゼータ)関数 について考えた文章や、それについての数学者と行った討論を載せた雑誌を読んだことがある。(注)
この高校生は、この先 いったいどんな生き方をするのだろう。
その雑誌を読んで、そう思ったのを憶えている。

本書の副題は、
 音楽の魅力を数学で新発見!

あれから、4半世紀。
彼女は、音楽で花を開かせ、数学で花を開かせた。
今現在の 中島さち子は、プロのジャズピアニストで、プロの数学者。

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こんな飯屋で読み始め。

放送日が不定期なのだが、NHKラジオ第1で流れる「Music Scrap」で大友良英が紹介する音楽は面白い。
雑音に音楽性を与えたり、そのつもりだが結局は雑音に終わったりとかの いわゆる「無調(むちょう)音楽」。

本書で扱われるのは、そんな解説されなければ解釈にアタマが届かない音楽ではなく、我々が長く親しんでいる
「調性(ちょうせい)音楽」。

 サザンの「真夏の果実」とドビッシー
 「大阪で生まれた女」と「少年時代」
 YOASOBIとバッハ
などに共通するコード進行、対称性が説明される。

説明するのは数学者だが、せいぜい 一桁の足し算・引き算、2での掛け算・割り算、3での掛け算・割り算。
数式は1本も出てこない(^^) 

本夕、読了。

以前、拙ブログで記事にしたのは、
 『音律と音階の科学』を読む
こちらは物理学者の書いた本だが、
『数学は本書(『音律と音階の科学』)のためにあるようなものだ』
と。

両書とも話の始まりは古代ギリシャの数学者のピタゴラス。
音楽と数学の相性の良さ。

って、ちょっとウィキペディアを覗いてみたら、あるンですね『音楽と数学』という項目が。

(注)
ζ 関数とは何ぞや。
と問われても、私には 何のことやら はァ(^^;

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2024年9月 1日 (日)

『生き物の死にざま』を読む

阿川佐和子のエッセーに、〝生きざま〟という言葉が使われている一文がある。
それを読んだ父の弘之は、娘の佐和子に、
 「〝生きざま〟なんて言葉を使うもんじゃない」
と言ったそうだ。
娘に 〝生きざま〟という単語を使うなと言った弘之の気分が、私には分かる。

本書は、〝生きざま〟ではなく〝死にざま〟。

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こんな飯屋で読み始め。

書かれているのは、小はアリから大はゾウまで、30ばかりの生き物の〝死にざま〟。

チャップリンの「ライムライト」の一場面が紹介されている。
生きることに絶望した若いバレリーナに主人公(チャップリン)は、
 生きていくことは美しく素晴らしいことだ。
 たとえ、クラゲであってもね。
と語りかける。

クラゲは古い生き物で、生活史は複雑。
クラゲの出現は、5億年前。
その頃から、5億年間ずっと生き続けているクラゲがいるのではないかという説があるんだと。

本夕、読了。

以前、拙ブログに、
 『身近な雑草の愉快な生き方』を読む
という記事を書いている。
同じ著者なのを本書を読み終えてから気付いた私はマヌケ。

私の〝死にざま〟はマヌケなのに違いない(^^;

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2024年8月31日 (土)

『豆腐の文化史』を読む

トウフを豆と書くのは、フグをフク(福)と書くが如し。
トウフ発祥の地 中国でも、トウフは豆
以下、拙記事は 本書の表記に従い〝豆〟で。

東京おでんと言ったら〝お多幸(おたこう)〟。
その店と関係があったのか なかったのか、我が町にも同じ店名の おでん屋があった。
お多幸お勧めのシメ飯は、〝とうめし〟。
ツユダクご飯の上に おでんの豆腐。(注) 

著者の専攻は食文化史。

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こんな飯屋で読み始め。

第1章の 「大豆から豆腐へ」から始まり、本書は9章で構成されている。
最終章の第9章は、まるまる1章を使って 「沖縄の豆腐」。

2020年度の1世帯当たりの豆腐消費額の全国平均は 5309円。
全国主要52都市の統計を見ると、消費額最多が那覇市で 6918円。
次が、盛岡市で 6388円。
52位が金沢市で 4192円。
といったこと以外にも、沖縄の豆腐事情の興味深い あれこれが記されている。

本夕、読了。

豆腐と言えば、泊まりの山行に とても便利だったのがハウスの〝ほんとうふ〟。
昨年 製造を止めてしまったのは残念。

豆腐と称するが、杏仁豆腐は本書の守備範囲外。
針供養の豆腐も、本書の範囲外。

(注) 
豆腐が、拙ブログ記事の主題。
なのだが、シメに〝とうめし〟は、私には重すぎる。
私は〝だいめし〟で。
ツユダクご飯の上に、おでんのダイコン(^^) 

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2024年8月26日 (月)

『まちがえる脳』を読む

著者は心理学を専攻した脳学者。

書名の『まちがえる脳』の〝まちがえる〟は、〝錯覚〟のことではなく、脳の〝柔軟性〟のこと。
ひとつの脳の部位が複数の機能に関わる〝柔軟性〟。
また、その個人差が大きく、しかも経験で変化する〝柔軟性〟。

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こんな飯屋で読み始め。

生理学用語に、発火(ignition)があるそう。
ニューロン(神経細胞)の機能は、情報の伝達・処理。
細胞の内側より細胞の外側が高電位。
この電位差が増すことでニューロンの活動が始まる。
それが発火。

私自身がバカだということをタナに上げて言うのだが、本書を読んでニューロンのネットワークをイメージできるヒトは、相当量の事前知識があるヒト。
そもそも、本書を読む必要のないヒトだと思う。
私の持つイメージは、NHKスペシャルの『人体』シリーズで、ニューロンのネットワークで発火がパチ・パチ・パチと起きる様子を視覚化した放映で止まったまま。
ゆえにと言うか、頭が回らないからと言うか、ページがなかなか進まなかった。

本夕、読了。

MRI(fMRI)で血流の増減を測定できる大脳皮質の最小単位の、現時点の到達点は1ミリ立方。
その範囲内に、(用語の説明抜きに記すと)
 ニューロン 10万
 シナプス  10億
 樹状突起と軸索の長さ 10キロ
で、その神経回路の動作は全く分かっていない。
更には、ニューロンのつながりで作られている脳は自発的に活動するが、ニューロン自身は自ら発火できないと。
脳の研究に必要なのは、天才ではなく根気らしい。

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2024年8月17日 (土)

『買い物とわたし』を読む

本書の副題は、『お伊勢丹より愛をこめて』。
週刊文春に連載していた『お伊勢丹より愛をこめて』に加筆したエッセー集。
著者は山内マリコ。
本書内の表現を使うと、美大を出て小説を書いているヒト(らしい)。

『お伊勢丹より愛をこめて』の〝お伊勢丹〟は、百貨店の伊勢丹のこと。

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こんな喫茶店で読み始め。

著者が買ったモノの、その購入動機や購入経緯が、65編のエッセーでつづられる。
必ずしも伊勢丹が購入場所ではなく、ホテルオークラだったり、ネット通販だったり、ユニクロだったり。

Made in Japan も 今や、何だかアヤしい。
 学校の所在市出身の選手が一人もいない高校野球強豪校
 化粧は偽装(かもしれない)
 警察官の調書偽造
 大手メーカーの型式指定検査不正
でも、
 カニカマボコを偽造とは言わない(ような気がする)
 回転寿司のエンガワはヒラメではないけれど、それを偽装とは
 言わない(ような気がする)
 Word・Excel の上書きは偽装とは言わない(ような気がする)
 メロンパンにメロンは使っていないけれど、偽装とは言わない
 (ような気がする)
 デジタル画像の Photoshop 加工は、修正・修整・調整
 その結果は、時に作品、時に偽造

本夕、読了。

買ったモノに、百均のプラスチック容器なんてない。
かと言って、預金残高が10桁なければ買えない、なんてモノもない。
職についているモノなら、手を出せそうなものばかり。

が、こう言ってはナンだが、この本はイヤらしいしイヤしいと思う。
書かれているモノは、幾つあっても困らないモノ。
タオル・下着・靴・花・クッキー・洋装品 等々。
購入品の評価は全て肯定的。
かつ、ブランド名はしっかり入れてある。
著者の下心が透け透けの見え見え。

彼女の買い物が、縫い針やミネラルウォーターなら、そんな気分には ならなかったと思うが。

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2024年8月12日 (月)

『食べるのが大好き』を読む

文部・労働・法務・総務大臣を歴任した鳩山邦夫の逝去は ’16年。
享年67。
邦夫は21歳の時、7歳年下、つまり14歳のタレントの高見エミリに求婚している。
そして その求婚は実り、エミリが18の年に二人は結婚した。

政治家の妻となり、二男一女の母となったエミリが本書の著者。
邦夫が政界でブイブイ言わせていた頃の本で、初版は20年以上も前になる。

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こんな飯屋で読み始め。

本書は、料理レシピ本。
自宅庭で邦夫が栽培している野菜や飼っている烏骨鶏(うこっけい)が生んだタマゴなどを使った料理が、日々のあれやこれやを交えて紹介されている。

盛り付けに使っている器は全て著者作。
掲載されている写真も全て著者の撮影。

2男1女の母でもあるし、早朝から邦夫と活動を共にする秘書らもいるので、毎朝食の準備は7、8人前。
朝食は必ず味噌汁が付いた和食。

邦夫の料理のウデも確か。
エミリ不在時の子供らの弁当は、彼が作っている。
また、丸のままのサカナをおろすのは邦夫の役目。

本夕、読了。

特に変わった食材はない。
邦夫が育てたダイコンでタクアンを作る。
キムチ、梅干しを作る。
ウナギを使うレシピもあるが、主食材が、
 白菜だったり
 豆腐だったり
 オカラだったり
 ガンモドキだったり
 イワシだったり

が、そこはそれ。
名にしおう名家の鳩山家。
小学生の息子を米国に留学させる。
その留学先の住まいで雇っていたのは、2人のフィリピン人のメイド。
彼女らに作らせたフィリピン料理(アドボ)をエミリ風にアレンジした料理が紹介されている。

名にしおう名家の鳩山家の台所で作るエミリ風アドボに必要な材料は、
 鶏モモ肉
 豚のスペアリブ
 ニンニク
 しょう油
 酢
 砂糖
 コショウ

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