『まちがえる脳』を読む
著者は心理学を専攻した脳学者。
書名の『まちがえる脳』の〝まちがえる〟は、〝錯覚〟のことではなく、脳の〝柔軟性〟のこと。
ひとつの脳の部位が複数の機能に関わる〝柔軟性〟。
また、その個人差が大きく、しかも経験で変化する〝柔軟性〟。
こんな飯屋で読み始め。
生理学用語に、発火(ignition)があるそう。
ニューロン(神経細胞)の機能は、情報の伝達・処理。
細胞の内側より細胞の外側が高電位。
この電位差が増すことでニューロンの活動が始まる。
それが発火。
私自身がバカだということをタナに上げて言うのだが、本書を読んでニューロンのネットワークをイメージできるヒトは、相当量の事前知識があるヒト。
そもそも、本書を読む必要のないヒトだと思う。
私の持つイメージは、NHKスペシャルの『人体』シリーズで、ニューロンのネットワークで発火がパチ・パチ・パチと起きる様子を視覚化した放映で止まったまま。
ゆえにと言うか、頭が回らないからと言うか、ページがなかなか進まなかった。
本夕、読了。
MRI(fMRI)で血流の増減を測定できる大脳皮質の最小単位の、現時点の到達点は1ミリ立方。
その範囲内に、(用語の説明抜きに記すと)
ニューロン 10万
シナプス 10億
樹状突起と軸索の長さ 10キロ
で、その神経回路の動作は全く分かっていない。
更には、ニューロンのつながりで作られている脳は自発的に活動するが、ニューロン自身は自ら発火できないと。
脳の研究に必要なのは、天才ではなく根気らしい。
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