『うんち学入門』を読む
脚がない上に飛べない昆虫のユープケッチャは、体長15ミリ。
丸一日かけて、その場で反時計回りにクルリと一回転する。
直径15ミリの円内が、ユープケッチャの全世界。
食べ始めは日出。
食べ終わりは日没。
その間、食べ続け、フンを出し続ける。
食べるのは、バクテリアによって養分が再生された自分のフン。
安部公房の『方舟さくら丸』は、そんな究極の自給自足で生きる フン食い虫 の話で始まる。
ただし、ユープケッチャは公房の創作。
こんな喫茶店で読み始め。
本著者は、動物を捕獲せずに、排泄物を採取して遺伝子分析を行う生物学者。
その研究スタイルゆえ、排泄物、すなわち〝うんち〟に詳しい。
ヒトの大腸内に寄生する細菌の種類は500から1000。
数は600兆から1000兆。
重量で言えば、1から1.5キロなんだと。
ところで、うんちの8割が水分で、残りの2割のうちの、
3分の1が、未消化物
3分の1が、消化管からはがれた腸粘膜組織
3分の1が、腸内細菌とその死骸
1回あたりのうんちの重さは、100から250グラム。
中間値の175グラムを使って計算すると、うんち中の
腸粘膜組織が、12グラム
腸内細菌とその死骸が、12グラム
ヒトは、少なくとも 毎日
体の組織の12グラムが入れ替わり
腸内細菌の1パーセントが入れ替わる
といえそうだ。
本夕、読了。
動物のうんちを球状にして後ろ向きになって転がす甲虫のスカラベ(フンコロガシ)は、古代エジプトでは 聖虫 とされた。
古代エジプトの墓地では、近年、スカラベのミイラさえ発掘されているくらい。
ヒトだけが、生まれるやオムツをし、最期にまたオムツをする。
発射時、船外活動時、地球帰還時の宇宙飛行士もオムツをする。
排泄は必然。
かつ、重要で困難な事項だ。
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