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2023年2月

2023年2月26日 (日)

『牛丼 焼き鳥 アガリスク』を読む

本著者は、NHKの農政・食料担当の解説委員・米価審議会委員・食品安全委員会委員などを歴任したヒト。

以前に、似たような題名の
 『天丼 かつ丼 牛丼 うな丼 親子丼』
を読んで、拙ブログで記事にしている。

それと本書の著者は違う。
テーマも違う。

『天丼 かつ丼 牛丼 うな丼 親子丼』のテーマは、食の歴史。
『牛丼 焼き鳥 アガリスク』のテーマは、食の安全。
著者が、食品安全委員会委員に就いていた時に扱った
 BSE(牛海綿状脳症:狂牛病)を、〝牛丼〟に
 鳥インフルエンザを、       〝焼き鳥〟に
 健康食品を、           〝アガリスク〟に
象徴させ、食の安全を確保する策についてページが進む。

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こんな飯屋で読み始め。

2004年からの2年間、BSEの感染を恐れ、政府は米国からの牛肉の輸入を止めた。
米国産牛肉を使っていた吉野家は、メニューから牛丼を外すことになった。
ところで、BSEのプリオン(感染性因子)は、背骨(脊髄・背根神経節)に蓄積する。
プリオンが蓄積する前の若牛からの肉とすることで輸入が再開、吉野家のメニューにも牛丼が掲載されることになった。
この時、吉野家は肉のスライス厚を1.3ミリから1.2ミリに変えている。

若い牛は脂身が少なく、煮ても身の縮まりが少ない。
身の縮みの少ない肉を〝厚い〟と感じるヒトの舌の敏感さへの、吉野家の対応とのこと。

本夕、読了。

アンパンに振ってあるケシの実は、なければないでそれなりに。
まァ、あればあったで。

ケシの実なので、育てるとモルヒネがとれる。
アンパンのケシの実に関する法律は食品安全基本法ではなくて、あへん法。
ケシの実を流通にのせるために、あへん法が求めているのは、加熱して発芽しないようにすること。

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2023年2月25日 (土)

『世界の魚食文化』を読む

著者は農水省の官僚だったヒト。
水産学で博士号を持ち、英語・フランス語・スペイン語に堪能で、役人生活の三分の二を海外の赴任先で過ごす。
訪れた国は60ヶ国に及ぶという。

魚食文化の〝魚〟とは、サカナ・貝・エビ・魚卵など水産物全般のこと
魚食文化の〝食文化〟とは、水産物を食うこと

本書には、著者が世界のあちこちで食べた魚介料理がつづられている。

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こんな喫茶店で読み始め。

本著者は、刺身には醤油だと書く。
バカ舌の私でも、刺身は醤油。

刺身と言えば、米国の寿司屋では、マヨネーズ・ケチャップが多用される。
韓国だと、味噌。
日本にも、マグロやブリを味噌(ヌタ)で食わせる地方がある。
カルパッチョやマリネは我が食卓にものぼる。

味覚はヒトの生まれ育ち、学習なのだろう。

本夕、読了。

著者は、サカナの流通にも詳しい。
市場での競りは、競り上がるという言葉通り 落札するには値を上げる。
ところが、スペインでは、高値から始まって、値を下げていくのだとか。
これはと思った値まで下がったところで〝買った〟と声をかける。
バナナの たたき売りの要領。
競らない。
一発で決まる。

今年の春闘労使交渉。
トヨタとホンダは、一発 満額回答。
労使の労が売る側
労使の使が買う側
と考えると、スペインの市場と同じ(ウソかも知れない)。

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2023年2月19日 (日)

『真贋ものがたり』を読む

中国の上海市には、〝本物のニセモノ〟であることをウリにする商品を並べている店が何十軒も集まっている地区がある。
また、通行人をキャッチしては、〝本物のニセモノ〟を陳列しているビルの一室に案内する商売人もごまんといる。
グッチのネクタイの〝本物のニセモノ〟
も、
ロレックスのヨットマスターの〝本物のニセモノ〟
も、
エルメスのスカーフの〝本物のニセモノ〟
も、本物のニセモノ価格で手に入る。

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こんな飯屋で読み始め。

著者は、陶磁器の研究家。

近世に至るまで、磁器製造の最先進国は中国だった。
なので、中国(明)・越南(ベトナム) からインド洋を経由して中東へ、さらに喜望峰を回って欧州へと東洋情緒豊かな磁器が運ばれた。
また、17世紀中ごろ、海賊被害などを理由に中国(清)が海上交易を制限すると、長崎から中東・欧州へ伊万里焼が渡ることになる。
オランダ人が伊万里の陶工らに見本とさせたのは中国の磁器。

輸送・荷揚げの過程で破損して捨てられ、のちに海底や土中から得られた磁器の破片
難破船から引き揚げられた磁器
旧家・古い窯元から発見された磁器
なども話題に上がる。

磁器の真贋は、
 真、すなわち古い
 鴈、すなわち新しい
と言っていいようだ。

分析技術が進んでも、磁器の真贋の鑑定は難しい。
が、ロクロの回転が右回りか左回りかで、真贋の決着がつくものもある。

本夕、読了。

磁器は、民生用品。
また、地域性、世襲制の強い工芸品。
ではあるが、そこはそれ、〝芸術性〟がウンヌンされる。

という3行を前置きに、〝真贋〟とは、〝芸術〟とは何か・・・

拙ブログの 『名画は嘘をつく』を読む で話題にしたのは、ニセモノの絵に魅入った私の経験。
倉敷の大原美術館で見たゴッホの『アルピーユへの道』が贋作なのを知ったのは、ややしばらくたってから。
まァ、ズワイや毛ガニのカラをむしって食べるよりも、一正(いちまさ)のオホーツク(かにかまぼこ)を選択する私のことゆえ(^^;

鍛えられた耳を持っていた某有名音楽評論家と私を並べる無礼ご容赦。
彼は、こまめに国内外の演奏会に足を運んでは生の音を聴き、自宅では総譜(フルスコア)を読みながらステレオセットからの曲を聴く。
緻密かつ知的な評論をする音楽家で とおっていた。
その彼が亡くなった時、弟子たちは知る。
右スピーカーケーブルがアンプのL端子に、左スピーカーケーブルがアンプのR端子に刺さっていたのを。

ワーム・ジグ・毛バリを使う疑似餌釣り。
ニセモノでサカナを掛ける。
これは面白い(^^) 

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2023年2月14日 (火)

『コミュニケーション・ストレス』を読む

このヒトの著書は以前にも読んでいて、拙ブログで 『女の機嫌の直し方』を読む という記事にしている。
『女の機嫌の直し方』で著者が示したのは、
 〝男女の脳には機能差がある〟
ということ。
それゆえ、〝知識〟を使わねば、男女は噛み合わない。
その〝知識〟が書かれているのが、『女の機嫌の直し方』だった。

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こんな喫茶店で読み始め。

本書名の『コミュニケーション・ストレス』とは、男は女の言葉を理解できないということ、女は男の言葉を理解できないということ。

男同士、女同士でも分かり合えないよォ、などと、茶化してはいけない。
脳が緊張した時、脳がとっさに選ぶ神経回路には性差があることはデータから明らか。
著者の用語に従えば、
 女性脳は、プロセス指向共感型
 男性脳は、ゴール指向問題解決型
で、
プロセス指向共感型のコミュニケーション・スタイルは、共感
ゴール指向問題解決型のコミュニケーション・スタイルは、指摘

もっと、簡単に言うと、
 女は共感し
 男は指摘
するということ。

本夕、読了。

用語と例こそ違うが、書いてあることは『女の機嫌の直し方』と同じ。
底にあるのは、人工知能(AI)・対話エンジンの研究開発に携わる過程で得た脳の働きの知識。
それも、生理学や心理学をベースにした知識でなく、著者が専攻してきた物理学。

さて、私の脳はどうか。
指摘できるほど頭は働かないし、共感できるほど頭は柔らかくない(^^;

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2023年2月11日 (土)

最干潮の2時間近く前から、魚信が途絶えた(^^;

暖かくなる予報。
8時30分、出航。

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マスの準備をして出たが、あれこれあって、マス場のはるか手前で船足を止めた。
今日の出竿は、こんな風景の見える海域。

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南東から、波高50センチ、周期3秒の ゆったりとしたウネリが来るが、風穏やかで、潮もゆるい。
1投目。
1分もしない内に50センチ超が掛かったが、その後に掛かったサカナは小さい。

中潮。
12時10分が潮止まりの最干潮。
その2時間近く前から、魚信が途絶えた(^^;

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2023年2月 5日 (日)

風力発電のプロペラの回転は、1周3秒、20RPM

風力発電のプロペラが停止している。
無風。
ナギは昼まで持たない予報。
急げや急げ。

しかし、船中に積もった雪のかき出しに ひと汗。
そして給油。
その頃になると、北寄りの風でプロペラがゆっくりと回りだした。
1周20秒、3RPM。

9時、出航。

北から南にかかる幅100メートルほどの細い帯状の雲を、東から西へと抜けると日射し。
サングラスをかけ、地球岬をかわすために南下。

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追直漁港手前まで進むと、西からの波が航海を続ける意欲を急速にしぼませる(^^;

180°回頭し帰航。
着岸は9時45分。

着岸時の風力発電のプロペラの回転は、1周3秒、20RPM。
1投もできず(^^;

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2023年2月 4日 (土)

『日本の高山植物』を読む

昨夏のこと。
20キロ近い重さのザックを背負って大雪山系に入山。
赤岳(2078メートル)・白雲岳(2230メートル )・黒岳(1984メートル )と歩いた。
赤岳の頂に立つまでに、第一花園(1654メートル)・第二花園(1768メートル)・駒草平(こまくさだいら:1817メートル)と高山植物の群生地(お花畑)を通過する。
高度を上げるに従って、群生の主はチングルマ・チョウノスケソウ・コマクサと変わり、目を楽しませてくれる。
汗を流し心拍数を上げて高度を稼いだ者のみが知る目の楽しみだ。

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こんな喫茶店で読み始め。

本著者は、主に大雪山系の高山植物を研究対象とする植物学者。
研究生活は、30年以上になるという。

北海道の山は最高峰の旭岳でも2291メートルと低い。
とは言っても、日本アルプスでの森林限界標高が2500メートルくらいであるのに対し、大雪山系の森林限界は1500メートルもない。
森林限界より上の環境は過酷。
寒冷・強風・早い積雪と遅い雪解け・乾燥・永久凍土。

そんな環境に生育する高山植物の、
 生き延びていける理由
 多様な種が共存できる理由
 キレイな花を咲かせる理由
が考察される。

本夕、読了。

昨夏の、第二花園でのこと。
キバナシャクナゲの開花数を数えている人がいた。
高山植物の若い研究者だった。
山に入って山頂に立つことに少しの興味も持たず、ただただ お花畑に向かい合う。
こういう山歩きもあるんだなァ、と。
今思うと、本著者の弟子に当たる人だったかもしれない。

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