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2022年9月

2022年9月26日 (月)

『峠』を読む

31人による31編の紀行文がおさめられている。
31の峠。
書いている者の職業は色々。
銀行員・俳人・新聞記者・生物学者・物理学者・学生等々。

本書に記述があって私が通過したことのある峠は、
 北見峠:上白滝駅から自転車で
 碓井峠:横川駅から軽井沢駅までをジェイアール関東バスで
 小仏峠:新宿から富士山吉田ルート登山口に向かう富士急バスで

本書の初版は、今年の3月。
が、タネ本は、1939(昭和14)年に深田久弥によって編まれた『峠』。
だから、書かれているのは、
 北見峠:石北本線は未開通開部分があり、北見トンネルも開通前
 碓井峠:アプト式電車での峠越え
 小仏峠:小仏トンネルも中央自動車道も開通前
の紀行。

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こんな喫茶店で読み始め。

北見峠紀行を書いたのは、伊藤秀五郎(いとう ひでごろう)。
このヒトの書いたものは、以前にも読んでいる

明治から戦後すぐくらいまでの北海道内の山行記を読むには、〝駅逓(えきてい)〟を知っておく必要がある。
駅逓とは行政境界の峠などに置かれた、郵便の中継、貨物の中継、それらを運ぶ馬を引き継ぐ施設。
道内に600ヶ所以上あって、宿泊もできた。
登山者だと、そこで食料を調達したり、山に向かう基地にできる。

大正は1926年12月25日で終わり、26、27、28、29、30、31日の6日間が昭和元年。
明けて、1927年は昭和2年。
著者らは4人で、その1月に天塩岳(1558メートル)に登り、その足で北見峠の駅逓に向かう。
北見峠にあった その駅逓を管理していたのは香川県出身の夫婦。
里の開墾地での収穫を終え、雪が積もる頃に夫婦で峠の駅逓に入り、春を待つ。
冬の北見峠の駅逓は訪れる人も少なく 白一色に埋もれてあった。
著者らが訪れた時、駅逓の夫婦は改元されたことも知らずにいたという。

スキーで北見峠に向かった著者らは、湿った雪にワックスが合わずに大汗をかかされている。

本夕、読了。

書かれた時代は古い。
本書は、仮名遣いと字体を旧から新に。
さらに、難読漢字に振り仮名を加えて読みやすくしてはいるが、当時の一級のインテリが、同好・同門の者を相手に書いた文章。
見慣れない漢熟語が多い。

本書は、私にとっては知的峠(^^;

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2022年9月24日 (土)

『すーちゃん』を読む

益田ミリのマンガ。

本店と掛け持ちの店長とマネージャー、二人の正社員と何人かのアルバイト店員で食事も出すカフェが回る。
その二人の正社員のうちの一人が〝すーちゃん〟。
〝岩井さん〟が、もう一人の正社員。
男はマネージャーだけ。

すーちゃんは一人暮らし。
今の住まいに移って7年、カフェに勤めて3年。
34歳。

すーちゃんの親友は、OLの〝まいちゃん〟。
まいちゃんも一人暮らし。

すーちゃんはマネージャーに好意を持っている。
ところが、岩井さんとマネージャーがデキて、岩井さんは退職することに。
妻子持ちと不倫中だった親友のまいちゃんは 不倫を清算、結婚相談所で見合いをした相手と結婚することに。
そして、すーちゃんは、店長をまかされることになる。

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こんな飯屋で読み始め。

マネージャーへの片思いが、はかなく終わって・・・
幾日かのち、すーちゃんは日記にこう書く。

 少しずつ復活してる気がする。
 くよくよ考えるなって言う人もいると思うけど 
 それは私じゃない誰かの意見だ。
 私はゆっくり考えて復活する。

本夕、読了。

店長になった すーちゃん。
仕事を終えて部屋に帰り、ひとりごちる。

 ずっと変わりたいと思って生きてきたけれど
 いろんなあたしを増やせばいいかな~
 って思うようになって なんていうか少し楽だ
 違う誰かのようになりたいと思わないのは
 いい気分だ
 あたしでいい
 あたしでいいっていうか
 あたしも悪くない感じ
 
益田ミリは、救いを知っているヒトだ。

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2022年9月19日 (月)

『生物たちのハイテク戦略』を読む

大腸菌。
移動は、体から出ている細長い組織(鞭毛:べんもう)を使う。
鞭(むち)とは書くが、くねらせているのではなく回転させている。
新体操のリボン種目のようにクルクル回すのとは違う動作原理。
電動機軸のように本体との直接の接触を必要とせずに、鞭毛の先っぽから根元まですべてがクルクル回る。
鞭毛モーター。
電動機の回転子は、固定子との間での電磁気力でクルクル回る。
鞭毛は本体との間の化学力でクルクル回る。
関与するタンパク質は200種。
鞭毛モーターを構成するパーツは30個。
〝進化論〟は、長期間・徐々・自然選択がキーワード。
しかし、鞭毛モーターに そんな悠長な〝進化論〟は通じない。
鞭毛モーターが機能するには、この30のパーツが一挙に同時に出来上がる必要がある。

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こんな喫茶店で読み始め。

カッコウの仲間は托卵する。
托卵された卵は托卵先の卵より必ず先にふ化する。
そして、ふ化直後でまだ目も見えていないのに、托卵先のふ化前の卵や遅れてふ化してきたヒナを巣から落とし、里親が運ぶエサを独占する。
ところが、托卵先にされたトリが擬態卵を見分ける力を得、自分のものではない卵を巣から排除したり、巣そのものを放棄するようになったと。
カッコウが托卵先とするトリは、モズ。ホオジロ、オナガなど二十数種。
托卵するカッコウの多い地域では、里親種に托卵拒否行動が広がっているという。
カッコウはカッコウで托卵先を開拓。
オナガへの托卵は最近のこと。
そのオナガに、托卵拒否行動が見られだしたという。

本夕、読了。

最近、カッコウがオナガへ托卵することが発見され、さらに最近、オナガの托卵拒否が始まったのは、本書に書かれていること。

托卵先の拡大・托卵拒否は、循環なのか一本道なのか。
その時間をさかのぼるとどうなのかについて、本書には書かれていない。
カッコウの托卵は、今から1千年、1万年前に始まったことではないだろう。
何百万年も前からカッコウは托卵していたはず。
ヒトが観察する程度の時間間隔で托卵先の拡大・托卵拒否が言えるのであれば、1万年前、10万年前、100万年前のカッコウの托卵先は、どんなトリだったのだろう。
1000年前だっていい。
現在の托卵先と違うのならば、著者の論調は正しい。
現在と変わらないのであれば、托卵先が拡大しているわけでも、その原因が托卵拒否でもないだろう。
ヒトが観察しきれていなかっただけ。
私は、後者だと思う・・・

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2022年9月18日 (日)

1ハイずつ6回

今日の日出は5時18分。
5時、出航。

焼けた東の空から紅が去り、空に青が見えてきた。
が、じき、空から青が消え全周グレー。

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今日の出竿は、こんな風景の見える海域。

ガスで、0.5海里も視程がない。
周囲に何艇か浮かんでいるのだが、ポッと姿を現しては、またガスに沈む。
風穏やか、波も穏やかだが、1.5ノット前後で船が流れる。
移動の自由度を大きく損なうが、シーアンカーを入れ、船を安定させた。
船は等深線をなぞって流れる。

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ご同乗、ありがとうございます。
Sea Dragon船長、5本ヅノに5点掛けしたイカを取り込んでいるところ。
で、22ハイ。

私の仕掛けは、上から60センチ間隔で、
 プラヅノ
 3号スッテ
 3号スッテ
 3号スッテ
 4号スッテ
 プラヅノ
と配置した、6点掛けを狙った欲張ったもの。

が、6点どころか3点も、いやいや2点も付かず(^^;

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1ハイずつ6回。
で、5ハイ+幼生イカと極めて上品(^^;

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2022年9月10日 (土)

ノコノコと

8時15分、出航。

こんな時刻から出て行っても、どうかなァ。
と、思いつつも、ノコノコと。

ウネリが残っていて、そのウネリの上に小さな波。
波の頭は滑らかで丸いが船速を上げられず、18ノット。

この秋も、サバが入ったのだろう。
あちらこちらに、トリの集まり。

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今日の出竿は、こんな風景の見える海域。

先日浮かんだ、イカ場。
快晴。

ノコノコと出てきた海域、風ゆるく、潮も走らない。
150号のオモリがまっすぐ沈んでゆく。
じき、100号のオモリでもまっすぐ沈んでゆく海況となった。

しかし、というか、だからなのか。
140メートル、150メートル、160メートルと移動するも、スッテにもプラヅノにも、イカは付かない(^^;

もう少し、北東に進もうか。
まァ、時刻も時刻。
噴火湾口の根まで戻った。

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根も不釣。

魚探には魚影が映っているのだが、サカナにはサカナの事情がある。
竿は曲がらない(^^;

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2022年9月 8日 (木)

『誤報』を読む

予定稿とは、新聞社が事項の発生前に作っておく原稿。
 著名人の逝去記事 
 ノーベル賞受賞記事
 文化勲章叙勲記事
など色々考えられる。
経歴や業績、結果の影響などを、ことが起きてから調べたり考えたりしているようではマヌケ。
前もって、調べ考えて記事の原稿を作って、いざという時に備える。
放送局でも同様だろう。

ロシアがウクライナに砲口を開いたのは、今年の2月24日。
その翌々日の2月26日、東京にも支局を持つロシアのノーボスチ通信社が、
 「ウクライナがロシアに戻った」
と告げる記事を、ネット上にアップ。
しかし、それは予定稿。
ただちに削除したが、時すでに遅く、それが世界中に拡散した。
まァ、しかし、誤報が誤報だと認識できる記事なのだから、大恥をかいたが通信社としての罪は軽い。

著者は、新聞社々員を務め上げたのち、マスコミ論を講じる大学教員。

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こんな飯屋で読み始め。

副題が、『新聞報道の死角』。
〝死角〟とは、
 思い込み
 取材源からの情報・リークのいいとこ取り、つなぎ合わせ、憶測
 特オチへの不安からの勇み足(本書内では見切り発車と表現している)
 
新聞(に限らないが)は、何度も何度も誤報を出している。
そのたびに、謝罪・経緯・反省・対策は出すが、〝ンなことはタナに上げて〟書く(書かねばならない)のが新聞人。
朝刊・夕刊に間に合わせるための締め切りがある。
ウラ取り、確認、根掘り葉掘りは重要。
しかし、調査権も捜査権も持っていない報道機関にそれを強く求めるのは酷だろう(と思う)。

本夕、読了。

新聞人は、知識人である。
権力の監視人である。
大衆が意識を向ける方向を示し、大衆を誘導できる立場でもある。
そのオピニオンリーダー、啓蒙者としてのプライドからくるミスリードと言うか恣意的な編集でストーリィを作り上げることもある。
記者、カメラマンの功名心からくるデッチあげという、どうしようもないのさえある。

この先も、思い込みの、憶測の、見切り発車の、デッチあげによる誤報・偽報・虚報はなくならない。
しかし、言論の自由、報道の自由は、謝罪し、経緯を書き、反省し、対策を出し、それにより情報を正していくことで保障されるのだろう。

って、本記事の最終行が、中学生がホームルームで言う程度のことなのがこそばゆい(^^;

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2022年9月 3日 (土)

半分の半分

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昨夕。
西の空が焼けた。

明けて今日。
今日の日出は、5時03分
5時、出航。

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今日の出竿は、こんな風景の見える海域。

良ナギ。
秋の雲。

同乗は、我が老艇かつ汚艇に、よくぞ乗船くださったSea Dragon船長と副船長。

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Sea Dragon船長

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Sea Dragon副船長

早い内はイカの付きが良く、特にSea Dragon船長は、
4点掛け
5点掛け
6点掛けも。

船中総漁果の半分をお一人で。
残りの半分を、Sea Dragon副船長と私で半分ずつ。
船中、120ハイ。

やはりサメ。
しかし、Sea Dragon船長がモリで2尾撃退。
その効果もあって、被害は小さかった。
船中総被害は、付いたイカごとスッテを4つ。

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私の水揚げ、半分の半分。
30ハイ。

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