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2022年3月22日 (火)

『早すぎた発見、忘られし論文』を読む

度は長さ、量は体積、衡は質量。
秦の始皇帝による度量衡の統一は紀元前3世紀。
日本での度量衡の統一は、8世紀の大宝律令、16世紀の太閤検地がエポック。
古代バビロニアでは、紀元前40世紀には整然とした度量衡が定められていたらしい。

近代以降、質量は長いこと、最大密度温度(4℃)の1リットルの水を1キログラムと定め、その1キログラムの分銅を国際キログラム原器としてパリで保管してきた。
複製が40個あり、うち1個は工業技術院計量研究所(現:産業技術総合研究所)に保管されている。

2019年、質量をキログラム原器で定義せずに、
 プランク定数を 6.62607015×10-23 ジュール秒と
 することで定める
と定義し直されることになった。

プランク定数は実験的求められるが、これはアボガドロ定数と反比例の関係にあることが分かっている。
だから、質量を定義するにあたっては、プランク定数を使わず、アボガドロ数を使っても定義できることになる。

工業技術院計量研究所には、不純物のごく少ない直径94mmのシリコンの単結晶の球がある。
上記した理由から、質量をキログラム原器という人工物から離れて定義するには、アボガドロ数の精密な値が必要。
それをこのシリコン球を使って求めようと作られたもの。

以下、高校物理・化学の範囲を越えるプランク定数には触れない。
なお、アボガドロ数の単位は 個数で、無名数。
アボガドロ定数の単位は、個数/モル で、表記は /モル 。
ここでは区別せずに、すべてアボガドロ数として記述する。
(数値は同じ)

Photo_20220321182201
こんな飯屋で読み始め。

アボガドロは、18世紀から19世紀にかけて生きたイタリア人。
16歳で法学士、20歳で法学博士号を取得し、弁護士として人生をスタートさせている。

数学や物理学に手を染め出したのは、24歳になってから。
で、33歳で自然科学の教授職に就いている。

アボガドロ自身は、アボガドロ数の決定には関与していない。
アボガドロが唱えたのは、
 同一圧力
 同一温度
 同一体積
の気体には、気体の種類を問わず、
 同じ数の分子が含まれる
というもの(アボガドロの法則)。
アボガドロ、35歳の時の論文。
1811年のこと。

本夕、読了。

分子の存在の理論的証明は、アインシュタインによるブラウン運動の理論の発表まで待たねばならず、それは20世紀に入ってからのこと。
ことほどさように、アボガドロの考え方は時代に先んじていたために、同時代人には理解されることはなかった。
彼の論文が日の目を見るのは、1860年。
彼の死後、4年が過ぎてから。

さて、工業技術院計量研究所でシリコン球を使って求めようとしたアボガドロ数。
 6.022140×1023
から、精度を100倍上げた
 6.02214076×1023
に到達するまでに、10年を要している。
現時点の技術では、小数点以下10桁あたりが測定限界。

4年ごとにパリで開催される国際度量衡総会は、現代の太閤検地みたいなもの。
2018年の第26回総会で決議したものの内のひとつは、質量を定義し直したと同時に、
 アボガドロ数の値を
小数点以下8桁までで打ち切り、それを
 アボガドロ数の定義値とする
というもの。

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コメント

うーん 懐かしいな。6.022迄くらいしか記憶が無い。
高校の化学の頃だなきっと。
当時何だか意味が分からない世界。
先生は、気にしないで使っている内に
判ってくるからね。と言われたのを記憶しているな。

投稿: 川染 利夫 | 2022年3月23日 (水) 06:48

川染 利夫さん、こんにちは

我々は、
 同一圧力
 同一温度
 同一体積
の気体には、気体の種類を問わず、
 同じ数の分子が含まれる

そして、その分子の個数は、1モルについて 6.02・・×10^23 だと知っていますが、それは習ったから。

アボガドロの時代は、酸素と水素から水ができることは分かっていました。
しかし、分子という概念がなかったため、当時の科学者たちは、
 H+O→HO
と、水素原子1個と酸素原子1個が結合して水が1個できる、という理解をしていました。

アボガドロは、水素はH2、酸素はO2と原子2個が結びついた分子であり、
 2H2+O2→2H2O
であることを知っていました。
ドルトンの法則のドルトンは、アボガドロと同時代人で、アボガドロの論文も読んでいますが、アボガドロの分子説を頭から否定しています。

あまりにも時代を先行してしまうと、天才も不幸ですね。

私が覚えているのは、22.4リットル、6.02まで。

投稿: KON-chan | 2022年3月23日 (水) 07:45

そうそう、22.4リットル
思い出したなぁ。

それにしても、どうやって分子の数を
測定したのか。。。
私には、到底思いつかない。
おそらく、重さを量っり、比較したんだろうけど。

投稿: 川染 利夫 | 2022年3月24日 (木) 05:06

です。
0℃、1気圧の1モルの気体の体積が22.4リットル。

測定には、レーザー干渉計で長さを測定してなどと進めていったようですが、私の知識では それから先は全然理解できません(^^;

アボガドロ数は、6.02・・・を10と丸めると、10^24のオーダーの数。
この数はとても大きな数で、1秒間に100万(1メガ)ずつ数えるとしても30億年を超えます。
産業技術総合研究所には、アボガドロ数決定の研究だけを30年も続けている人がいるそうです。

人工衛星の設計でも、円周率は3.1416で足りるようです。
100メートル走の記録測定は、1/100秒まで
スピードスケートの記録測定も、1/100秒まで
反射望遠鏡の主鏡は放物面。
鏡筒に平行に入った光は焦点に反射されます。
この鏡面の精度は、光の波長の1/8くらい。
色によって波長は違いますが、0.1ミクロンくらいの精度で鏡を仕上げているようです。
直径1メートルの鏡で、小数点以下7桁の精度。
市販の望遠鏡の多くは、放物面鏡ではなく球面鏡。
初めっから、焦点がぼけています。

計測は面白い世界ですね。
まァ、私はせいぜい2尾だとか5尾だとかで、わぁわぁ騒ぐ程度ですが(^^;

投稿: KON-chan | 2022年3月24日 (木) 08:59

カタチ(〇△□) 点線面 数の言葉ヒフミヨ(1234)の[分化・融合]は、【1】【π】を数学の同格計量構造と観たい。

 ヒフミヨは△回し▢なる

 1とπ〇と▢のなぞり逢

 √6〇÷□如来蔵

 ヒフミヨはもろはのつるぎ絵本あり

投稿: レンマ学 | 2022年3月25日 (金) 20:50

レンマ学さん、こんにちは

同格ではなく、相対計量構造なのかもしれません。
従来は、質量からアボガドロ数を定義していたので、1モルの炭素C12は
 12グラム
でした。
それが、アボガドロ数を定義値とすることで、
 11.9999999958グラム
となりました。
小数点以下9桁の変化。
非常に小さな変化ですが、
世界人口は10桁
日本の国家予算は15桁、ドル換算でも13桁
我々の実感できる桁数です。

ワレはなまくらつるぎ、落とし紙(^^;

投稿: KON-chan | 2022年3月26日 (土) 00:46

アボガドロさんの時代はレーザーも無い時代だと思うので、昔の人はすごいなぁ。
光速度も測定方法よくわからない。蝋燭だかカンテラだかの光を離れたところからだして、反射させて
どうとか、読んだ記憶があるけど、よくわからなかった。
重力で光は曲がると言うことは、速度も変わるのかなぁと思ったりするねぇ。

投稿: ja8oxy | 2022年3月27日 (日) 17:11

アボガドロ数自体は、アボガドロが生きているうちには測定できていません。
彼の死後100年もあと。

光速度を測定したのはフランスのフィゾー、19世紀半ば。
高速回転させた歯車がシャッター。
歯車のコッチから歯と歯の間を通して光線を発射。
9km先の鏡で反射させた光が歯で遮られてコッチに届かなくなるまで歯車の回転を上げていく。
あとは掛け算と割り算。
レーザーのような指向性の強い光源ならともかく、フィゾーは光源に灯油ランプを用いたようです。
灯台のようにレンズで光を絞ったのでしょうね。

光速度は変化します。
なので、媒質の変化で屈折します。

なんて分かったふうなことを言っていますが、今の私、口をポカーンと開けています(^^

投稿: KON-chan | 2022年3月28日 (月) 00:08

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