『宇宙飛行士選抜試験』を読む
日本人宇宙飛行士は12名。
第1号はTBS記者で、旧ソ連邦カザフスタンの宇宙基地から打ち上げられている。
TBSの業務としてで、公務で上がったのではない。
以降の11名は公務のため。
宇宙飛行士は公募。
第1期の公募は1983年。
直近最後の第5期の公募は2008年。
採用は不定期。
第4期公募と第5期公募との間は10年ある。
第5期公募に応じたのは 963名。
書類選抜を通ったのは 230名。
第一次選抜通過者 50名。
第二次選抜通過者 10名。
本書の副題は、『ファイナリストの消えない記憶』。
〝ファイナリスト〟とは、第二次選抜通過者の10名のこと。
こんな喫茶店で読み始め。
〝ファイナリスト〟の10名から、最終的に宇宙飛行士として採用されたのは、3名。
3名の前職は、
・航空自衛官 戦闘機パイロット
・ANA職員 ボーイング767副操縦士
・海上自衛官 潜水医学を専門とする外科医
本著者は、航空宇宙工学を専攻し、重工メーカーの宇宙船外実験プラットホームの設計エンジニアを経て、JAXA(ジャクサ:宇宙航空研究開発機構)職員だったヒト。
〝ファイナリスト〟の一人。
選抜が終わるまで10ヶ月。
応募書類に貼る写真の準備、健康診断書や卒業証明書をそろえるところから選抜は始まる。
しかし、著者は10名中の3名にはなれなかった。
宇宙飛行士になる夢の実現をすぐそこまで引き寄せていたのに、それをとらえられなかった。
その過程、喪失感を振り返り文章に書き起こせるまでに必要とした期間は12年。
本夕、読了。
第5期公募時、32歳だった著者は、第4期公募時は学生で応募資格さえなかった。
2021年、今年の秋。
第6期の宇宙飛行士の公募がある。
第5期公募から、すでに13年。
著者は45歳になる。
公募に応じられる年齢ではない。
宇宙飛行士になるには、それにふさわしい知力・体力を得る努力が必要。
そして、公募時期に自分の年齢のタイミングが合うという、努力のしようがない運も必要。
コメント
前の職場で、何期かはわかりませんが〝ファイナリスト〟に残った麻酔科医と一緒に仕事をしていました。
彼が言うには、いちばん重視されたのは、人間性だったそうです。
狭く限られた空間で、極限状態に近い場所で長時間を過ごすので、相当なストレスに晒される。その場でも円滑な人間関係を維持できる素質だと。
知力・体力・適齢は、選抜すればいい。
人間性は、もともとの素質が大きく影響するので、難しいところ。
いちばん、努力のしようが無い面じゃないかなと思いますが、普段の生活においても一番大事なところですよね。。
投稿: めりー | 2021年2月 2日 (火) 03:50
めりーさん、こんにちは
めりーさんのおっしゃる通りで、水泳力や平衡機能検査を試す試験はずっとあとに行われます。
最後の試験は、ファイナリスト10名が一緒に閉鎖空間で24時間モニタリングされて2週間過ごすこと。
そこで協調性、課題への対応性、リーダーとしての資質など人間性がチェックされます。
その判断基準は公表されていません。
というか、ほとんど全ての判断基準が発表されていません。
だから、宇宙飛行士として選抜されなかった理由は当人にはわからないのだそう。
このとき選ばれた3人は、
油井亀美也
大西卓哉
金井宣茂
すでに、3人ともISS(国際宇宙ステーション)で活動してますね。
この内の大西さんと著者は同じ大学の同じ研究室の出身。
どころか同期生で、筆者はこの大西さんは宇宙飛行士に選ばれるだろうと、その人間性を知っているがゆえに予想していたようです。
最終選抜の決定権はJAXAにあります。
ところが、著者はあとになって知るのですが、NASAが宇宙飛行士として適任だとした人とJAXAが適任だとした人は違っていたのだと。
カナダだと宇宙飛行士になるには2000を超える倍率をくぐり抜けなくてはなりません。
世界中で、日本が一番宇宙飛行士になれるチャンスの多い国なのだそうです。
投稿: KON-chan | 2021年2月 2日 (火) 10:12