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2020年8月11日 (火)

『数学する人生』を読む

STAP細胞発見の発表をした女性研究者が研究室でドレスの上に着ていたのは、コート型白衣ではなく割烹着だった。

高校生の時。
1年生の冬休み後の3学期だけ臨時に教えに来た数学教師は、総白髪のオバアちゃん。
で、和服に割烹着。
オバアちゃん先生、奈良女子大の数学科出身だと聞いた。

岡潔(おか きよし)は、その奈良女子大で長く数学研究と女子教育に携わったヒト。(注)
本書は岡潔の残した多くのエッセーからチョイスされたものと、岡婦人が岡潔の人柄を書いた文章を1冊に編んだもの。

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こんな飯屋で読み始め。

本書の対象とする読者は、せいぜい加減乗除を使うことぐらいで日々を過ごしていける、私のような者。
だから、編者の選んだ岡潔の文章には、数式も数学用語も出てこない。
『数学する人生』という題名だが、〝数学する〟話はない。
年にレポート用紙で1000枚を使って考えることを2年。
それで20枚くらいの論文を1本。
数学者としての彼の仕事の風景は、それくらいのことしか書かれていない。

岡潔が文化勲章を受章した前後を〝騒動記〟として書いた夫人の文章に、岡潔の人となりが見える。

どこへ行くのにもノーネクタイ。
晴雨問わず、行き先問わず、いつもゴム長靴。
朝ごはんは、白米の上にトマトをのせて醤油。
食事時間は不定期、腹が減ったら食う。
ビールを1本か2本。

本夕、読了。

文化勲章受章者には年金が出るのだが、夫人が言うには、
「大学から十分な給金をもらっているので必要ない」
その十分な給金額とは、4万7千円。
1970(昭和45)年のことで、その年の国家公務員上級職の初任給で3万とちょっと。
60歳の国立大学教授のフトコロ具合の何とつつましやかなこと。

岡潔は夫人帯同でフランスに3年間留学している。
夫婦ともヨーロッパの文化にひたっていた時期があるが、日本に戻ってからの生活はいたって和式。

岡潔の日常は、上に書いた通り。
そんな彼に、夫人はソーサーにスプーンも付けてブラックコーヒーを出す。

(注)

邦人数学者で国際的業績をあげた二人をあげよと言われたら、高木貞治(たかぎていじ)とこのヒト。

岡 潔。
1901(明治34)年-1978(昭和53)年。
多変数解析関数論上の「三つの大問題」を解決した数学者。
って、私には何のことか(^^;

欧州の数学者らは、この「三つの大問題」が大変な難問であることから、一人で三つ全てを解決できるとは考えていなかったようだ。
それゆえ、Kiyoshi Okaとは、数学者集団を表す名称だと信じていたようだ。

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