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2019年4月26日 (金)

『身近な雑草の愉快な生き方』を読む

取り上げられているのは、ナズナ(ペンペングサ)、シロツメグサ(クローバー)、タンポポ、スギナ(ツクシ)、ハコベ、オオバコ、ツユクサ、ヒルガオ、ススキなど50種。
どれも我々になじみの植物で、〝雑草〟とくくられてはいるが、みなそれぞれ名を持ち個性を持つ。

〝愉快〟とあるが、〝愉快〟をはるかに越える〝生き方〟。
植物に限らず、生命とは、〝不思議〟。
〝不思議〟という言い方では、とても足りない。
生命とは〝奇跡〟。

これからの季節、山に入ると、まだ雪の残る斜面のそこここで咲く花を見る。
生命が〝奇跡〟であると感じずにはいられない。
Weeds_1こんな喫茶店で読み始め。

〝雑草生態学〟
そんな学問があるようだ。
著者は、雑草生態学者。

種子を作る植物で最小なのは、ウキクサ(浮草)。
葉のように見えているのは、実は茎(葉状体)。
水分・養分を吸収するのに必要となる以上に根は長く、しかも その先端が重い。
そのアンカー効果で、多少の波ではウキクサはひっくり返らない。
夏は水面で繁茂し絶対に沈まないのに、氷が張る前に水底に沈んで冬を越す。

取り上げられている50種すべての図(イラスト)が載せられている。
写真術、印刷術の進んだ現在でも、本格的な動植物魚貝図鑑、人体解剖図などは写真ではなくイラスト。
鉱物図鑑なら写真のほうが良い。
しかし、イキモノの形質や特徴を表わすとなると、写真はイラストの表現力にまだ追い付いていない。

本書にカラーページはないから、イラストは全て色のない線画。
その色のない線画は、カラー写真の描写力に勝っている。

本夕、読了。

室蘭岳水元沢ルートには、20平米ほどのネジバナの群生地がある。
アサガオはどれも左へ左へと一方向に渦を巻いてツルを伸ばすが、ネジバナの花の穂は左へ左へもあれば右へ右へもある。

鉄砲が日本に伝わったのは、1543年とするのが通説。
拙ブログの過去の記事  『ねじとねじ回し』を読む  で、鉄砲伝来の その時まで日本人は〝ネジ〟を知らなかったことを話題にした。

日本人は〝ネジ〟を知らなかったのだから、〝ねじる(ねづ)〟という動詞や〝ねじれ〟という名詞はあっても、〝ねじ〟という名詞は16世紀まで日本語にはなかっただろうと、私は思う。
だから、水元沢ルートのネジバナの群落を見るにつけ、鉄砲伝来前は、これを〝ネジレバナ〟とか〝ネジリバナ〟と呼んでいたのではないかと考えていた。

本書中には上記のような解説はないが、本書を読んだことをキッカケにWikipediaを覗いてみると、おォ、ビンゴ!
〝ネジバナ〟を〝ネジレバナ〟とか〝ネジリバナ〟と呼ぶことがある由が記載されている。
私の〝ネジバナ〟の語源説は、アタリかも(^o^)

我が竿にも、こんなアタリがきて欲しいなァっと(^o^)

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