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2019年4月23日 (火)

『写真で読む 山の名著』を読む

山の雑誌数々あれど、『山と渓谷(山と渓谷社)』と『岳人(ネイチュアエンタープライズ)』の2誌の質の高さを評価する人が多い。
この2誌とも刊行歴は他誌よりはるかに長く、順に90年に70年。

このうち、山と渓谷社は、絶版などで入手しにくい本の復刻版や、資料や翻訳を精査しての改訂版をヤマケイ文庫のレーベルで出版する事業を行っている。
ヤマケイ文庫の立ち上げから10年になり、その10年で100点近い数が刊行されている。

拙ブログで、以前に記事にした、
 ・もう道に迷わない
 ・山岳遭難の教訓
 ・山の突然死
 ・アルピニズムと死 僕が登り続けてこられた理由
 ・山人たちの賦
 ・山釣り
 ・マタギ
 ・旅に出る日
の8冊は、ヤマケイ文庫。
Jpg_1こんな喫茶店で読み始め。

本書は、本の本。

ヤマケイ文庫から〝名著〟として選ばれた17冊が、17冊それぞれに数葉の写真とトータルで230ページを使って解説される。
さらに33冊が各々1ページで紹介される。
合計で50冊なので、ヤマケイ文庫既刊の半分以上が本書に登場することとなる。

ところが、この50冊と、私の読んだ上記8冊とが1冊も かぶらない。

私の読書の対象が ひどく偏っているせいだろう(^^;
どういうわけか、これが悪くない気分(^o^)

私のやっている山歩きは、ただのウォーキング。
6時間から9時間を費やしても、獲得できる累積標高は2000メートルくらい。
背負うザックも、最も重いときで17キロ。
山によってはロープやクサリを使うような斜面を登ることもあるけれど、使うのは誰かが張ってくれた固定ロープや固定クサリ。

しかし、本書で解説される〝名著〟の中には、私のような山歩きが書かれたものもある(^o^)
困難を克服する山行の〝名著〟も
山行の孤独が記された〝名著〟も
吹雪かれてのビバークで死を待つ間に書かれた〝名著〟も
死の淵からの生還が書かれた〝名著〟も・・・

本夕、読了。

タイトルに〝写真で読む〟とある。
その通りで、挿入されているのは、〝名著〟を語るに申し分ない写真ばかり。

遺品のピッケル
雪の斜面に足跡を残すソロ登山者の後ろ姿
頂に続く鋭い稜線
夕日に染まる垂直の岩壁
ガスで白い沢
山小屋のランプ

悲しくて孤独で厳しくて、そして美しい写真だ。

ところで、山岳写真家という職業はあるが、釣り写真家という職業はない。
この件について私なりの見解があるのだが、素晴らしい写真と一緒に、悲しくて孤独で厳しくて、そして美しい文章を読んだあとだ。
私の愚見を語るのはやめて、しばし、本書の読後の余韻に浸っていようと思う。

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