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2018年11月 9日 (金)

『崩壊する映像神話』を読む

「私のことキレイに撮ってネ」
そう言ってポーズをとっているのに、キレイに撮ってあげられないヒトがいる。
「そもそも被写体が」などと、開き直ってはいけない・・・(^^;

〝そもそも程度の被写体〟でも、キレイに撮るヒトはキレイに撮る。

 

Photoこんな喫茶店で読み始め。

TVのニュース番組。
不始末を起こしたヒトなり企業の幹部なりが、
「大変、申し訳ありませんでした」
と、深々と頭を下げる。
とたんにフラッシュが焚かれ、シャッター音が10も20も30も。
マスメディアにおいて、シャッターチャンスは逃せない。

〝横顔なら左から〟と注文を付ける女優がいるのだと。
背の高さの分かるものとは一緒に撮らせない作家がいるのだと。
歌舞伎役者には専属カメラマンが付いているのだと。
光を当て、背景を変え、角度を変え、
「そう。 もう少し上を向いて。 そのままで、目をちょっと左に。 そう。 もう1枚」
シャッターチャンスは突然・偶然ではなく、作られる。

本書から。
大事故を起こした大手航空会社の社長の頭を下げた上半身が左。
右に遺族。
某全国紙朝刊にその写真が載せられ、キャプションが『遺族に深々と頭を下げる○□社長』。

実際に○□社長がアタマを下げた相手は遺族ではなく、報道陣。
記者会見場所を急に変えたことへの謝罪で報道陣に頭を下げていた。

これも本書から。
湾岸戦争時の話。
全身に油をかぶった海鳥の写真は、私も記憶にある。
サダム・フセイン率いるイラク軍がクウェートの採油施設を破壊し原油が海に流出している、というのがその写真への説明だった。
しかし、この写真が撮られたのは戦争とは関係のない地域。
海に原油が流れ出たというのは事実なのだが、戦後に分かったその原因はイラク軍の破壊ではなく米軍の空爆によるもの。

〝映像神話〟とは言うけれど、それはジャーナリストとしての著者のウヌボレではなかろうか。
〝崩壊〟とは言うけれど、はなから〝映像〟とはキワドイものなのでは。

配信される映像は見せるためのもの。
それがそのままリアルであると認めるほど、我々の眼は無邪気ではない・・・

本夕、読了。

1936年のベルリンオリンピック。
200メートル平泳ぎのラジオ実況は、「前畑ガンバレ」で有名。
〝ガンバレ〟を24回叫んだという。
この実況はNHKでは録音されず、ポリドールの前身のレコード会社によってレコード盤録音されている。

これとは別に、アサヒレコードのレーベルで『女子水上二百米決勝實況』というのがある。
 モールス信号音が数秒入り、
 スタートのピストル音
 レース実況
 そして、
 前畑ガンバレ、ガンバレ、ガンバレ
 また、モールス信号音が数秒入って終わり
というもの。
観客の歓声なんかも入り、臨場感豊か。

これが、スタジオ録音のモノマネ実況(^^;

口パク。
洋画のアテレコ。
ハリウッド映画に至っては、舞台がエジプトだろうがイタリアだろうが銀河系外の異星だろうが、みな英語を話す。

私は、貴女の化粧にダマされる(^^;
映像だけでなく、リアルな世界も崩壊している・・・(^^;

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