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2018年5月19日 (土)

『語源をさぐる』を読む

著者は言語学者の新村出(しんむら いずる)。(注)

本書の初版は1951(昭和26)年と古いが、筑摩書房・講談社・河出書房など、私の知る限り、少なくとも5社から出版され、今年になってからも新しい版が出ている。

Etymologyこんな喫茶店で読み始め。

言葉とは実に不思議だ。
文法。
動詞などの活用の規則性。
人の知的活動の産物なのだから、太古の太古、初めの初め、誰かがコントロールして成り立たせたのだろう。

 ・そちら行く
と、
 ・そちらから行く
の違い、近いようで深い断絶がある。
誰かが助詞を定義しなければ成り立たない。
そして、それをどういう手段で伝えたのか。

文法がどのようにして出来上がっていったのか、人工知能が現在の1000京倍も速くなればシミュレーションできるのか、そのさらに1000京倍速くなればシミュレーションできるのか、あるいは永遠に解き明かされないのか。

人はいつ言葉を持ったのか・・・

みたいな話が書かれているわけではない。

〝星〟を〝ほし〟というようになった経緯
〝土〟を〝つち〟というようになった経緯
〝虎〟を〝とら〟というようになった経緯
等々、ごく基本的な語彙の源をはるか過去までさかのぼっていく話。

本夕、読了。

学者らしく証拠をあげて理詰めの考察が続く。
証拠には、ラテン語・ギリシャ語・サンスクリット語・中国語・朝鮮語・英語・独語・仏語・ポルトガル語、オランダ語、アラビア語からもあげられる。

しかし、難しい言葉は使われず、理解できない言い回しもない。
文章は現代的。

著者、70歳も半ば頃の著作。
著者にとって、語源は趣味的な興味だという。
そのことと、その年齢から言わせるのだろう、学理的になることを控え、原理的になることを避けて著述した旨の記述がある。
それが、私にも読み通せた理由。

(注)

1876(明治9)年-1967(昭和42)年
広辞苑の編纂者。

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