チングルマ雑考 1
登山者にもっとも知られている花は、チングルマだろう。
本州の山だと2500メートルくらいまで上がらないと見られないと聞くが、私の見た一番低い標高は、1309メートルの徳舜瞥山から1322メートルのホロホロ山への尾根ぎわ。
北海道では、1300メートル程度から上なら見ることができそうだ。
なお、高さが15センチあるかないかの大変に背の低い木なので、ササやハイマツなどの植生の強いところでは見られない。
羊蹄山は1900メートル近い山だが、ここでは見たことがない。
背が低いので、ほぼ上から見る花。
花弁は白。
しかし、雌しべ・雄しべの黄色が鮮やかで、それが花弁の白と葉の緑と混色し、開花した群生地は薄いオレンジ色に見える。
夏の花だと言われるが、そんなことはない。
昨年9月18日、紅葉の中岳(2113メートル)からの下山中に見ている。
この木は地面を低く這って生える。
花の柄が木の幹より長い。
つまり、木の本体よりも高いところに花をつける。
そして、その全てが天を向く。
【画像:上】
『SNACK BAR ちんぐるま』
大雪山系への入山基地のひとつ、層雲峡温泉。
標高650メートルで見つけた〝チングルマ〟(^o^)
【画像:中】
8月27日、赤岳にて。
1700メートル付近。
画像最底辺中央、白く見える花がチングルマ。
先行者がレンズを向けているのは、ウメバチソウ。
【画像:下】
8月27日、赤岳にて。
1900メートル付近。
高度を200メートル上げると、季節が移った。
群生チングルマの結実。
薄茶の長い綿毛の実をつける。
このあと、紅葉する。
大雪山系の秋の赤は、ウラシマツツジとチングルマ。
チングルマとは不思議な名前だ。
チングルマの語源は、以下のように説明されることが多い。
〝結実したチングルマは稚児車(ちごぐるま)に似ていることから、そう名付け られた。 なお、稚児車とはおもちゃの風車(かざぐるま)のことである。〟
Wikipediaをはじめとするネット上の情報の大部分が、この稚児車からの転訛説。
しかし、
チゴグルマ(稚児車)がチングルマへと変化するのなら、
チゴユリ(稚児百合)はチンユリへと
チゴササ(稚児笹)はチンササへと
変化しなければ理屈がたたない。
さて・・・
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