比羅夫駅にて
倶知安駅とニセコ駅の中間、比羅夫駅。
ポイントのある交換(列車すれ違い)駅だったことのある比羅夫駅なので、名残の軌道床跡が残り、駅舎も大きい。
今は単線、ホームも1面。
ニセコマウンテンリゾート グランヒラフ(旧ニセコひらふスキー場)への最寄駅なのだが、そこに行くには比羅夫駅ではなく倶知安駅かニセコ駅で降りてタクシーかバスを使うべき。
比羅夫駅前に、客待ちタクシーは停まっていない。
比羅夫駅には、バスも寄らない。
この駅から乗る人、この駅で降りる人は極めて少ない。
そのはずだ。
ここに至る道路は普通車でもすれ違えない。
駅前に立って目に入る人家の数は、指を3本折るとそれで終わり。
【画像:上】
釧網本線の北浜駅は、駅が喫茶店。
駅舎内に喫茶店やレストランがあるのは珍しくないし、大都市の拠点駅ではデパートが駅舎そのものを構成していたりする。
北浜駅が気を引くとすれば、そこが無人駅だから。
比羅夫駅は、駅が宿。(注)
比羅夫駅が気を引くすれば、そこがやはり無人駅だから。
〝人込みは嫌いだ〟と言うヒトは多い。
〝ヒトと関わるのはわずらわしい〟という意味で言っているのなら、人生あと10年必要。
人込みなんぞ、好きなヒトがいるわけない。
しかし、雑踏ほど人間関係を希薄にする空間はない。
雑踏にいるのは、数え切れない他人。
他人は自分に関わらないし、自分も他人には関わらない。
比羅夫駅。
ここに雑踏はあり得ない。
ヒトは少ない。
が、その少ない他人は特定の他人。
特定の他人同士だから、「誰かと私」の関係がどうしたって生まれる。
30秒か30分か、せいぜい何時間かの関係なのだが、言葉をかわすことがなくても、無関係では決していられない。
だから、〝人込みは嫌いだ〟と言うヒトは、こんな所には来るべきではない。
列車に乗って来るところを車で、と、つまらない行程にしてしまった(^^;
冬に、白い息を吐いて列車から降り立つべき駅だろう。
本日、駅が宿の比羅夫駅 駅の宿ひらふに投宿。
ひと時、その場限りの、「誰かと私」の関係が生まれる。
あす朝には消滅する、はかない友情が。
【画像:中】
西にニセコアンヌプリ、東に羊蹄山。
その2山の頂を結ぶ線の真ん中が比羅夫駅。
背中で聞こえる瀬音は尻別川。
【画像:下】
長万部発札幌行の最終列車がホームを離れた。
21時23分、定刻通り。
ほどなくホームの照明が落とされ、鉄路が闇に沈んだ。
雨降り止まぬ。
(注)
日本で駅が宿なのはここだけ、と、しばしば紹介される。
無人駅でと限定すればその通り。
その限定を外せば、東京駅々舎内には伝統ある立派なホテルが入っているし、大阪駅や札幌駅も駅構内にホテルがあるようなものだ。
国有鉄道時代と違って経営自由度の増したJRの駅舎内・駅構内に宿泊施設を置く例が、この先は増えていくように思う。
コメント
高円寺です。
ここは私も一昨年の8月に訪問しております。やはりBBQでしたか?
駅舎の保全工事中でしょうか。白滝シリーズは廃駅となるそうでここへは行けないままになりそうです。
投稿: 高円寺 | 2015年7月27日 (月) 22:10
高円寺さん、こんにちは
BBQでした。
私は本宿の最高グレードにアップ。
と言ってもラムを牛に、焼きおにぎりをイクラ丼にですが。
まァ、BBQはBBQ、まんまです。
駅舎の屋根の補修をやってました。
工期2週間。
結構な規模の工事です。
白滝シリーズ、金華、小幌の廃駅はどうしようもありませんね。
乗降客がいません。
また、新幹線の札幌延伸時には、長万部-小樽間は三セクでも残らないでしょう。
比羅夫駅は、駅〝だった〟宿として残るのかどうか、さて。
現駅の補修はJR持ちですが、廃駅後は個人で維持しなくちゃなりませんからね。
投稿: KON-chan | 2015年7月27日 (月) 22:58