羊蹄 余話
【画像:上】
私が食事休憩場所とした避難小屋跡。(注)
この基礎上に建っていた避難小屋の前身は、測候(観測)所。
帝国の降伏前年に建設されたもの。(それより前に建設されたとする資料もある)
戦後間もなく測候業務は停止、建物は避難小屋へと転用されている。
気象レーダー設置前の富士山々頂測候所の常駐気象職員は、4人だったと聞いている。
測候だけなら、羊蹄山も同様だったろう。
交代時には、一時的に8人が居住したかもしれない。
ところで、この羊蹄山の測候所の建っていた基礎の規模から感じるのは、測候機器の設置を考慮しても8人で使うには広すぎるということ。
以下のようなことなのかと。
帝国海軍が攻撃日の天気は目視爆撃可能であると解析できたのは、ホノルルのラジオ放送の天気予報を傍受していたから。
また、帝国内では真珠湾奇襲の翌日から終戦日の1週間後に至るまで、ラジオ・新聞での天気予報報道に規制がかけられている。
ことほどさように、戦時中の気象データは機密・軍秘事項。
だから、山頂の測候データを無線で連絡する際には、暗号化していたはず。
であれば、測候に4名、他に帝国軍の暗号員、通信兵、その指揮のための士官。
帝国は陸海軍とも気象隊を編成していたから、測候情報を軍用情報として報告するための気象隊員もいたかもしれない。
となると、1クルー10名くらい、交代時には20名ほどがここに詰めたのでは。
【画像:下】
シナモンミルクティーを作るつもりで、ガスストーブを持って上がった。
しかし、熱いモノを飲む気にならない。
牛乳は冷たいままで300CC、それにスコーンにチーズ。
と、英国風くずれで(^o^)
見えている基礎ボルトはM12と細くまばら。
降伏間近の帝国の窮状が分る。
測候所員の活動はどんなだったのだろう。
思いも興味も広がるのだが、測候所時代の資料を見つけることはできなかった。
(注)
真狩コース九合目から北に10分ほどトラバースしたあたりに避難小屋がある。
’72年に道が建設した避難小屋が老朽化したため、環境省が一昨年に建て替えたものだ。
元の避難小屋はまだ解体されてなく、隣接して残る。
上で記事にしたのは、それよりも更に前にあった施設のこと。
最近まで、この遺構は『旧避難小屋跡』と呼ばれていたようだが、新しい避難小屋が建った今は、『旧々避難小屋跡』とでも呼ぶべきものだろう。
コメント
今晩は。小屋跡で水を分けてもらった札幌の菊池です。船長さんは雪渓から水が得られるとおっしゃってますが雪渓トラバースポイントをのがすとそのあとは雪渓まで行くのはちょっと億劫なものがあります。分けていただけて大変に助かりました。ソロで登っていらっしゃるのに私どもに話を合わせていただき大事なおひとりの時間を使わせて申し訳なく思っています。眺望も良くとても心に残る登山になりました。どこかの山でまたお会いしましょう。貴ブログがますます充実することを御祈念します。
投稿: 菊池啓一 | 2015年6月22日 (月) 19:38
菊池さん、こんにちは
背中を軽くするために捨てるつもりの水でした。
お役に立てて幸いです。
まァそれにしても、1800メートルの高所で魚釣りのことで話に花が咲くとは。
御夫婦で山に登られ、沖にも御夫婦でというのはうらやましいようなそうでないような(^^;
我が家なんかは、「行ってらっしゃい」とは言われますが、「私も行く」なんてことは、まずありません。
で、それが気楽でいいンだなァ(^o^)
私が食べていたブルーチーズ、すごいニオイだったでしょ。
うちの中では食べられませんね。
塩ッヶの強いところが、汗を出した後にいいンです。
あれを食べるために、私、山に登ったようなもンです(^o^)
また、どこかの山でお会いしましょう。
投稿: KON-chan | 2015年6月22日 (月) 20:59
先週、北湯沢から、登山靴を持ってきた。
実は、週末に室蘭岳にでも、登ってみようかと
思っていたのですが、この天気、止めました。
今週、天気が回復したら、行くつもりです。
それにしても、Konちゃんの登山食は、なんとも
喉につまりそうですが。。。あはは
それにしても、羊蹄山がんばりましたね。
一生に一度で満足な私です。
投稿: 川染 利夫 | 2015年6月29日 (月) 08:07
川染さん、こんにちは
春の室蘭岳もなかなかいい山です。
夏道コースには、どなたがされているんでしょう、花の名前が分かるようにと小さな名札が近くに挿されてあったりして、この春は随分と花の名前を憶えることができました。
歩いた距離と獲得標高から単純計算すると、羊蹄山の真狩コースより室蘭岳の夏道コースのほうが傾斜が2°きついです。
室蘭岳、鍛えてくれる山でもあります。
羊蹄山を下っている時には、私も『この山にはもう登ることはないなァ』と思いながら脚を動かしていました。
が、真狩のジャガイモ畑の向こうに西日に照らされた山容を見ている内に、『二度登るバカ』になってもいいかなァと思っている自分になっていたりしていました(^^;
童話の『金のガチョウ(独)』・『赤ずきんちゃん(仏)』・『不思議の国のアリス(英)』などには、パンと葡萄酒が出てきます。
欧州のキリスト教国人には、パンと葡萄酒が日本人のおにぎりとお茶に相当するのでしょうね。
アルコールを体に入れて山を歩けるほどの高機能の肝臓を持っていませんから、私のザックに酒瓶は入っていませんが、私、特にコメや麺類を口にしなくても、何日でもパンやビスケット類を食事代わりにできます。
で、山に持っていく食べ物はそんなものばかりです。
夏でも、2日や3日で腐ってしまうこともないし、火を使わないでも食べられるしということが理由です。
ただし、これらは血糖値を急激に上げてくれるので疲労の回復は早いですが、腹にズシッとこないのですぐに空腹感をおぼえます(^^;
日本人体質の者が、欧州人の食事をマネしても、確かに喉つまりしますね。
で、紅茶やコーヒーの用意もして登っているのですが、火を使うのが億劫で(^^;
ゼビオから、アルファ米の五目ご飯や山菜おこわを買ってきました。
次回の山歩きでは、試してみるつもりです。
投稿: KON-chan | 2015年6月29日 (月) 17:12
羊蹄山を2度登るのは、私にはむりですね。
登れても、山頂で3-4日泊しないと、降りてこれません。昔、日高のアポイに登ったときに、パンも、持って行ったら、喉が詰まって、大変でした。それに、普段は
美味しいのに、全く美味しくなかった記憶があります。
私は、山頂とか、途中でも火を付けてコーヒーを飲んだり
それが楽しみでもあります。面倒とはあまり思いません。
山の楽しみは、色々ですからね。
たのしみましょう!
投稿: 川染 利夫 | 2015年6月29日 (月) 18:27
本州なら、羊蹄山は小屋泊まりを前提とする山でしょうね。
北海道の登山者は大したもんです。
私の脚なら、昼の長い今時期でないと羊蹄の日帰りは躊躇するものがあります。
余裕をみると、行動可能時間で14時間くらい欲しいですものね。
日さえあれば、登りだけなら、まだ500メートルくらいは高度を上げられそうに思いますが、羊蹄山、下りが厳しいですね。
石は浮いているし、滑るしということで、登りではザックに括り付けっ放しだったポールを、下りでは手にしました。
下りだけなら、羊蹄山が私の限界です。
今度登る時は小屋泊まりです。
ゆっくりとコーヒーを淹れる時間を持ちたいと思います。
投稿: KON-chan | 2015年6月29日 (月) 20:26