ニセコを登る IV
ニトヌプリから東に向かう山道は、軽い小さな火山礫(れき)・火山灰でおおわれていて、その下にある(と思われる)荒々しい火山岩を隠す。
柔らかく歩きやすい。
イワオヌプリからの噴出物だ。
イワオヌプリの山体も、火山礫・火山灰の多い岩山となっている。
その山肌は、時間経過による浸食、風化があまり進んでいない。
素人目にも、ごく新しい山肌に感じる。(注1)
そのせいだろう。
ニトヌプリとイワオヌプリ間の風景は、荒涼と言えば荒涼、寂寞と言えば寂寞。
だが、暗くもなければ、物悲しくもなく、異質感・不思議感に富む。
歩くに楽しく、目に楽しい風景だ。
ところで、先日はチセヌプリ・ニトヌプリと2山縦走できたので、それなりの充足感を持って今年のニセコの山歩きを終えたつもりでいた。
でも、やはりイワオヌプリをすぐ目の前にしながらパスしたのが心残り。
この山ひとつだけを登るのならば、大した時間はいらない。
釣師がシケを喜ぶのもヘンな話だが、幸いと言うか、今日の噴火湾の海況ではKON-chan号は出航できない。
ニセコへ。
登山口での気温は3℃。
ニット帽をかぶって山頂を目指した。
【画像:上】
深いところで、靴底の厚みの4倍ぐらいの硬い雪。
昨日か一昨日の、一人歩きの登山靴の跡が見える。
ウサギ・キツネの足跡も見えるが、少し高度を上げると処女雪となった。
【画像:中】
イワオヌプリ(1116メートル)山頂。
遠景は、ニセコアンヌプリ(1308メートル)。
山頂は西からの烈風で、地図も広げられない。
地面には、風で飛ばされて雪も付いていない。
冷たい風だ。
風に背を向け、靴ヒモを締め直し、火口をグルリと一周して下山した。
山歩き時間2時間50分。
12227歩。
補給した水分、なし。
【画像:下】
折り目をセロテープで裏打ちしているのと、汗で湿気ったのとでゴワゴワになったが、このニセコ観光マップが使い良かった。(注2)
ピンクのマーカーペンで塗ったのが、この秋、私が登ったニセコの山。
西から、白樺山・シャクナゲ岳・チセヌプリ・ニトヌプリ・イワオヌプリ・ニセコアンヌプリ。
赤で引いた線が、踏破路。
赤点線が自転車で走った道。
意識して選んだわけではないが、新見峠から東の、いわゆるニセコ東山々系の主だった山は登り尽くしたといえる(^o^)
(以下、ニセコとはニセコ町を指すのではなく、倶知安・蘭越なども含むニセコ山系地域を言う)
ニセコは山々の連なりの中に、たくさんの絶景がある。
いずれも、登りの山道を歩かなくては得られない景観だ。
ニセコには、車だけで回っても目を楽しませる素晴らしい自然の景観が多いのだが、観光ガイド本に「美瑛・富良野」はあっても「ニセコ」を独立編集した本はない。
やはり、足(体)を使う必要のあるスポットを欠いた編集では、魅せる質が半減・半々減・半々々減するのが理由だろう。
近い将来、倶知安駅は新幹線駅になる。
その時、ニセコは観光で大いに栄えるはずだ。
今時点でも、ニセコには目に楽しい山あり川あり。
温泉も多い。
農場・牧場も多く、地産物を食材とするシャレた食いどころ、菓子屋、カフェも多い。
経済的意味でも時間的意味でもゆとりのある個人が開設している遊びどころ・工房・展示どころも、あちらこちらにある。
が、ニセコを観光で訪れる人の内の1パーセントも、私が山歩きをしたことで得た景観を目にできないと思う。
そうであることが、私には何となくうれしい(^o^)
(注1)
日本活火山総覧Web掲載版によれば、江戸時代後半と20世紀初頭に噴気活動があったことが記録されている旨の記述がある。
(注2)
この地図は川染さんから頂いたものだが、国土地理院の5万分の1地形図を原本に作られているので信頼度大。(ただし、等高線が入っていない)
ニセコの道の駅に寄ったら、〝ご自由にお持ち帰り下さい〟という表示とともに大量に置かれていたので、5部持ち帰った(^o^)
コメント
あらら、とうとう硫黄山へ行ったのですね。
風が強烈でしたか。私の時も飛ばされそうでした。
霧が出たときは、意外に迷いやすい山なので
注意なんですよ。特に頂上からカルデラ付近
が分け判らなくなります。
来年は、昆布岳がいいか、それとも過去何度も
登った駒ヶ岳がいいかとか、色々、思いを巡らせていました。
投稿: 川染 利夫 | 2014年11月 8日 (土) 21:05
川染さん、こんにちは
今夕の役員会、特にもめることもなく、無事終了。
ご安心下さい。
風邪を召されたようで、ご自愛下さいませ。
いやァ、スゴイ風でした。
火口を回って、いざ下山の時、5分ほど自分のいる位置を失い、半遭難状態に(^^;
まァ、何とか帰って来れました。
来季は私も目国内岳です。
投稿: KON-chan | 2014年11月 8日 (土) 22:15
そーですか、Kon-chanが顧問になっていただける
ようなので、安心しました。
そのことだけが、一番気がかりでした。
天気次第ではありますが、
目国内岳は本当に良いです。
今から、来年を楽しみにしてます。
投稿: 川染 利夫 | 2014年11月 9日 (日) 05:48
いやいや、「顧問」なんてとんでもない。
これに関して大いにもめました。
大体、そんなガラじゃないし、前顧問のように議員でもないので、交渉力も折衝力もありません。
腹も減っていたし、ちょっと飲みたかったので、おおいにもめたのち、根負けしました(^^;
投稿: KON-chan | 2014年11月 9日 (日) 16:16
いえいえ、Kon-chanには、何時までもこの会に
関わっていて貰いたいのです。
たまたま、前顧問が引退と言うことになり
今の会則には、適当なポジションが無かったので
顧問と言う事にしただけでして。。。
もともと、会則にも顧問と言う規定が無いのですけどね。アドバイザーでもオブザーバーでもかまわないのですけど。末永くよろしくお願いします。
投稿: 川染 利夫 | 2014年11月 9日 (日) 20:55
まァ、オブザーバーってとこでしょうね。
若い人や女性が増えると面白いのでしょうけれど。
老人会でも面白いですけれどもネ。
投稿: KON-chan | 2014年11月 9日 (日) 22:41