『大衆魚のふしぎ』を読む
講談社ブルーバックス。
筆者は水産庁の研究官だった人で、’97年に定年退官している。
本書の第1刷は’93年で、現役時代に書かれたもの。
読み始めは、こんな飯屋で。
本夕、読了。
ブルーバックスシリーズが取り上げるのは、主に自然科学・情報・工学系の話題。
著者には斯界の権威がそろっているが、読ませる相手は素人であることを前提にしている。(注1)
研究者は「〝大衆〟魚」などという言葉の使い方はしないだろうから、表題は、多分、ブルーバックスの編集者が与えたものだろう。
著者も素人相手という編集方針に沿った筆使いをしている。
だから当然のごと『「大衆魚」とはなんぞや』みたいな本の入口でのバタバタや定義のアレコレはせずに、本文へ誘導する。
この本でいうところの〝大衆魚〟とはイワシ・サンマ・サバ・アジ・ニシンのこと。
著者は’88年以降に顕著になるマイワシの不漁とサンマの豊漁を’83年に予測していたことで有名な人で、本書の後ろのほう1/3くらいはそれに関することにページが費やされる。
その理屈に難しいものはない。(注2)
そういった話に進む前の章に、色々と面白い話題があった。
進化の進んだ魚は多産。
また腹ビレが頭のほうに近づく。
KON-chan号であがる魚で言えば、サケよりソイのほうが進化した魚だということになる。(画像中の ↑ が腹ビレ。)
これが、私には意外に感じる。
(注1)
素人に読ませるのだから、素人が理解できるレベルにまで噛み砕かれて書かれてある。
よって、何だか分かったような気になる。
(注2)
何だか分かったような気になって、「その理屈に難しいものはない」と思ったりする。
それが危ないンだと。
『〝そんな〟本を読んで分かったような気になってはいけないヨ』という権威もいるようだ。
噛み砕かれて書かれているとは、読者がそう思っているだけで、〝そんな〟本には噛み砕くも何も、元々素人に分かった気にさせる範囲内のことしか書かれていないと。
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